※性描写を含みます。ご注意ください。 ヨシュアの手のひらが俺の腰をしっかりと支えて、反対の手が後ろに回りこむ。それだけで身体が震えそうになって、堪えるようにヨシュアの肩に額を擦り付けた。 「ん、く……よしゅ、あっ」 しばらくゆるゆると入り口付近をほぐすように動いていたゆびが、つぷ、とナカに入り込む。どんなに慣れてもいつもこの瞬間は緊張してしまうのだけれど、中ほどまでゆびが入り込んでしまえば、力を抜くのはさほど難しいことではなかった。 くちゅ、くちゅ、と控えめに動かされるだけで、反射的にヨシュアの細いゆびをぎゅっと締め付けてしまう。そんな自分が浅ましくて、恥ずかしくて、どうしていいのか分からない。 「大丈夫? 痛くない?」 それでも気づかうヨシュアの声は優しくて、俺の耳には何よりも甘く深く響くから困る。ふんわりと落とされる柔らかな声はどんなに些細な音でもじくじくと全身に広がって、自分が自分でなくなってしまいそうだ。 「ん……うん、ぅん……っ」 大丈夫だから、とうなずき返すと、ほっとしたようにヨシュアが吐息を漏らす。耳元にかかるその吐息を感じてしまったら、どうしても今ヨシュアにキスしたい衝動を抑え切れなくて、おずおずと顔を上げた。 物欲しげに見つめる俺の視線を不思議そうに受け止めるスミレ色を見たら、我慢なんてできるわけない。しがみついた腕に力を入れなおして、無防備に開かれたヨシュアのくちびるに自分のそれを押しつける。 待ちきれないように舌を伸ばす俺にヨシュアはびっくりしたみたいだけど、すぐに優しいキスで応えてくれた。 「ん、んぅ……ふ、ぁ……」 ぬるつく舌を擦り合わせるたびに、ぴちゃ、とはしたない音がして、でもそんなことも気にならないくらいヨシュアとのキスは気持ちいい。 もっともっと、とがっつく俺をあやすようにやんわりとかわして、物足りなさにどんなに求めてもいつもヨシュアのペースにされてしまう。はやる気持ちと緩慢な快感が噛み合わなくて、息継ぎのタイミングも分からなくなる。 「ぅ、や……よしゅ、んんっ……!」 ヨシュアの舌を追いかけるのに夢中になっている間に、増やされたゆびが奥まで突き入れられた。 そのまま、入り込んだゆびがく、く、と粘膜を押し上げる。 「や、あっ……!」 強すぎる快感にびくりと腰が跳ねて、咄嗟に触れ合わせていたくちびるを離した。 「ネク君?」 「あ、だ、だめ……っそこ、やっ」 「ここ?」 「ひゃ、あ……! っめ、だめ……だめぇ……っ」 ほんの少し掠めるだけでびくびくと腰が跳ねてしまう箇所を、長いゆびが容赦なく責め立てる。 離れてなおも触れ合わせてくるくちびるから逃げるように首を振っても、ヨシュアは腰を支えていた手を離すと、その手であっさりと俺の顎を捕らえてしまった。 「キス、まだ途中だよ?」 「ゃ……ま、って……まって……!」 「だーめ。ネク君からおねだりしたくせに」 「やら、ねが……っん、んー……」 そのままくちびるを塞がれて、まさしく蹂躙するという言葉そのままにヨシュアの舌は俺の口内をねぶり回した。 しつこく舌を絡められて、体内のゆびを突き動かされて、もう口を閉じることすらできなくなる。 「は、ふ……んく、んくぅ……んっ、んんっ……」 そんな状態では注がれるヨシュアの唾液を嚥下しきることなんてとてもできなくて、閉じきらない口からとろとろとこぼれては、顎までべたべたになった。 「あれ?」 「は、はぁ……あっ……」 「またいっちゃったんだ」 顎から離れたヨシュアの手がつ、と俺の腹を撫でる感触がなんだかぬるぬるしていて、でもそれが何なのか理解できない。 「ごめんね、気づかなくて」 「ん……んっ……」 「ね」 「う……?」 「もう、入れてもいい?」 ぼうっとする頭ではヨシュアの言葉がよく分からずに首をかしげると、苦笑する声と共にずるりと体内のゆびが抜かれた。ヨシュアはそのまま、かちゃかちゃと自分のベルトを外して前を寛げる。 「ネク君可愛いんだもの」 「よ、しゅ……」 「ほら、勃っちゃった」 露になったヨシュアのものは、既に大きく勃起していた。分からないながらも、なんだかそれがとても嬉しい。よいしょ、とヨシュアの手のひらに腰を持ち上げられて、入り口に熱いものが押し当てられる。 「入れる、よ?」 その熱とヨシュアの声で、ようやく状況を理解した。わけの分からない頭でも身体は正直なもので、どろどろに蕩けきった内部がヨシュアのもののかたちを思い出して、ぎゅうっと収縮する。 「よしゅ、あっ……」 「うん」 「ほし、い……ぅ、ちょうらい……!」 「うん」 そのままゆっくりと腰を落とされて、内部を満たす感触に頭が真っ白になった。 まともな思考など全部飛んでしまって、しがみついたヨシュアの身体と体内の熱だけを確かに感じる。 たまらずにぎゅ、と強く締め付けると、ヨシュアの口から漏れる吐息が耳を熱くさせた。 「ん、ネク君……っきもち、いい?」 は、と堪えきれないように漏らされた息と同時に囁かれた声は掠れていて、なんともいやらしくて、熱くなる耳からじくじくと広がって、そのまま。 「ふ、ゃ、あっ……!」 「え、わっ」 身体のどこかが大きく脈打ったような気がして、びく、びく、と身体が勝手に跳ねる。 自分の身体なのに、何がどうなっているのかわからない。お腹のぬるぬるがさっきよりも酷くなった気がする。 ひく、と震える身体は、どこかが壊れてしまったんじゃないかと怖くなった。 「また、触ってないのにいっちゃったの?」 ふ、と笑う声に、どうしようもなくなって耳を塞いでしまいたくなる。こんなの、違う。 「ん……うぅ、ゃ……ち、がぅ……」 「ネク君?」 「こん、な……ちが……」 こんなの俺じゃないって、信じられなくて、ただふるふると首を振った。 ヨシュアの肩にぐったりと凭れて額を擦り付ける俺の頭を、優しい手のひらがそっと撫でる。泣き濡れた視界に何度も瞬きをしてから顔を上げると、こつん、とヨシュアが額を合わせてくれた。 「そんな顔しないで」 「ぅ、く……」 「ヘンになってもいいよって、言ったじゃない……?」 ちゅ、と優しく濡れた頬に口づけてから、ヨシュアはゆっくりと俺を揺さぶり始めた。 「ふ、ぁ……あ、よしゅ、あっ」 「今度はちゃんと触ってあげるね」 そう言われて、何のことだか分からずにヨシュアのスミレ色を見つめると、達してからもすぐに勢いを取り戻していた屹立をぎゅ、と掴まれた。 「ゃ、あ、あっ」 何度も達したそこは自分の精液でぐちゃぐちゃになっていて、ヨシュアがゆびを動かすたびにいやらしく音を立てる。 「め、よしゅ……っさわ、さわっちゃ、ぁ」 「どうして? ネク君さっき、ちゃんとしてって言ってたでしょ」 思わずしがみついた腕を解いて必死にヨシュアの胸を押し返そうとしても、まったく気にしていない様子でぎゅ、ぎゅ、と擦られた。 そのたびにナカのものを強く食い締めてしまって、駆け抜ける快感にずるずると力が抜けて行く。 「だめ……やだっ……い、いっぺんにさわっちゃ」 「だめなの?」 「ん、んんーっ……」 「いっぺんに、ね……こう?」 「ぅあ、あぁっ……!」 ぐ、と先端を摘まれて、そのまま少し乱暴に突き上げられた。 もはや許容量を超えてしまっている快感に、べそべそと情けなく泣き声を上げるしか術がない。 「く、ふ、ぇ……えあぁ……っあ、あぅ」 「ふふ、気持ちよさそうだね。かわいい声」 「しゅ、あ……も、しんじゃ、ぅ……おれ、っこわれちゃ」 ぐすぐすと漏れる嗚咽に、自分でももう何を言っているのかわからない。 それでも、後から後からこぼれて頬をべたべたにする涙を、ヨシュアの舌が何度も優しく拭ってくれたのだけはわかった。 「うん、大丈夫だよ。壊れたりしないから」 「あーっ、あぁ、ぁ……」 「ナカ、すごいやわらかくなってるの。分かる? 分かんないかな」 「は、ふ……はぁ、は」 「ふふ。だから、いっぱい気持ちよくなってね」 喉を震わせて笑うヨシュアの声に、ずるずると頭の中まで犯されていく。 それから、ヨシュアが二回達するまでに何度も射精してしまいながら、目の前の身体にしがみつくこともできずに意識を飛ばしてしまった。 「ネク君は僕の声やらしいって言うけどさ」 「ん……」 「僕から言わせると、ネク君の声のほうがよっぽどやらしいと思うんだけど」 くたりとヨシュアの胸に凭れながら、その低い体温を満喫していたのに、唐突に落とされた言葉に水を差された気分だ。 「うそ、だ」 「ウソじゃないよ」 ヨシュアはその言葉が一番信用できない。 「どこが」 「どこ? んー、ちょっと滑舌が悪いところとか」 「……」 悪かったな。 「舌足らずなところとか」 「……?」 どこがやらしいのかさっぱり分からない。 「声出さないように、って堪えてるときの声とか」 「っ……」 「あと、やっぱり感じすぎて泣き出しちゃったときの声とかかなぁ」 「も、もういい! それ以上言うな!」 誰かこいつを黙らせてくれ! ともはやヨシュアの口を塞ぐことすら億劫な疲れきった身体で願う。 「おま、おまえのほうがタチ悪い、ぞ」 「どうして?」 「な、んか……ふつーに喋ってても、なんか……」 「やらしい?」 ふふ、と笑う声に最後まで言えずに口ごもった。この笑い声が俺は一番タチが悪いと思うのだけれど。 「それは、困ったね。僕は普通に喋ってるつもりなんだけど」 俺だって、いい加減もう慣れたつもりだった。 「んー、まあ……」 「?」 「またえっちな気分になっちゃったら、いつでも言ってね?」 「……!」 耳元でからかい混じりに囁かれて、びくりと肩を跳ねさせてしまう自分の身体は、やっぱりこの声に慣れるのはこれから先も無理な気がする。 あんな顔であんな声のヨシュアさんと一緒にいるネクの心臓をいつも心配しています。 20090510 →次へ |