「ヨシュア?」 ぶらぶらと屋台を眺めながらベビーカステラを全て平らげて、出たゴミをまとめて屋台の横に設置された臨時のゴミ箱に放り込んでからもどると、またしてもヨシュアの姿がなかった。先ほどまで向かいの屋台でヨーヨー釣りを小学生の男の子と競って遊んでいたから、次はスーパーボールか金魚釣りか、なんてことを考えていると、背後から急に手首を掴まれた。 「う、わ!」 余りにも突然のことで咄嗟に手を払ってから振り向くと、なんということはなく、ただ柔らかく微笑んだヨシュアの見慣れた顔があった。反射的に強張らせていた身体から、みるみるうちに力が抜けていく。 「なんだよ、びっくりするだろ……」 ほっと息を吐こうとすると、ヨシュアはそんな俺には構わずに再び手を取り、ぐいぐいと引っ張りながら屋台の通りを外れるように歩き出した。 「こっち」 「え、あ……おいっ」 茂みを掻き分け、ちょっとした森のようになっている木々の合間へどんどんと入り込んでいく。祭りの明かりが段々と遠ざかることに些かの不安は感じたものの、ヨシュアに手を引かれているというだけで安心してしまって、大きな疑問を抱くことなく従順にその生成り色の後を追っていた。 「ヨシュア、どうしたんだよ。どこ行くんだ?」 「……」 「花火、そろそろ始まる時間なんじゃ」 そうだ、もうすぐヨシュアが言っていた時間になる。花火は屋台の通りをもう少し行ったところにある河川敷で上がると言っていたから、少し早めに行かなくては。 と、どんどんと先を行く後ろ姿にどこか違和感を覚えて、さらに俺の手を握っていない方のヨシュアの手を見て、ふと疑問を抱いた。あれ? 「ヨシュア、おまえヘッドフォンどうしたんだ?」 「……」 「それにヨーヨーも」 俺が見ていた限りでは、ヨーヨー釣りで大人げなく小学生を負かして、戦利品である水風船にゴムのついたそれを一つだけ、ぴょこぴょこと跳ねさせながら子どものように遊んでいたはずだ。俺の見ていない間に風船が破けるか何かして、捨ててしまったんだろうか。それにしたって、ヘッドフォンは。 「ヨシュア?」 ぴた、と先ほどまでの早足が嘘のようにヨシュアが歩みを止める。つられてすぐ後ろに立ち止まっても、背中を向けたままのヨシュアの表情は見えなくて、なんだかそれだけではない不安が胸の中を覆い始めた。 「よ、しゅ……」 もう一度声をかけようと口を開いた瞬間、身体に響いた衝撃に頭が真っ白になって、一瞬自分がどうなっているのかすらわからなくなる。必死で頭を振ってなんとか視界を取り戻そうとしていると、背中に熱い痛みと滑らかではないささくれ立った感触、それから首が何かに圧迫されてやけに呼吸が苦しいことに気がついた。 徐々に戻る視界で必死にヨシュアを探すと、探すまでもなくすぐ目の前に白い頬と月の光を浴びる柔らかそうな髪の毛が見えた。けれど、その表情は被さる長い前髪に覆われてしまっていて、窺うことができない。 首を圧迫するものが苦しくて咄嗟に手をやると、ひんやりとした滑らかな皮膚と、細い骨格の感触。あれ、なんでヨシュアの手が、俺の。 「う、ぐ……!」 ぎり、とその細い腕のどこから出てくるのかというような力で、華奢なゆびが俺の首に食い込む。ヨシュアに首を絞められている、ということに気づいても、既に抵抗できるような力は身体のどこにも入らなかった。片手に下げていたお好み焼きの入ったビニール袋が、無情にもばさりと地面に落ちる。辛うじてヨシュアの腕にかけた手で爪を立ててみても、びくともしない。 「く、ぁ」 ふわり、と奇妙な浮遊感が頭の中全体を満たして、酸素を取り込めない苦しさすら徐々に薄れ始めて、そして、そのまま。 「っ!」 ばしゃ、と派手な水音がして、わずかな飛沫が俺の顔を濡らした気がした。次いで強く首を圧迫していた手の感触がぱっと呆気なく離れて、そのまま力の入らない身体はずるずると押さえつけられていた樹の根元にへたり込んだ。先ほど背中に感じたささくれ立った硬い感触は、どうやら樹の幹だったらしい。 「っ、げほ、げほっ」 途端にこみ上げてくる咳をなんとかいなしながら、ようやく取り込めるようになった酸素を思い切り吸い込んで、必死に呼吸を整える。状況を把握するためになんとか顔を上げると、涙でにじんだ視界を必死で探った。 目の前には、顔を両手で押さえながら、俺と同じように尻餅をついて地面にへたり込んでいるヨシュア、の姿。そのすぐそばにカラフルな水風船らしきものの残骸が転がっていて、先ほどの水飛沫はあれが破裂したものだと気がつく。どうやら目の前の人物はあの水をもろに顔に被ってしまったらしい。 と、じゃり、という砂を踏む音がすぐ横からして、咄嗟に音のする方を見上げた。 「ネク君、大丈夫?」 へたりこんでいる俺のすぐ傍にヨシュアの細っこいジーパンの足が伸びていて、見上げた先には心配そうにこちらを見つめるヨシュアの整った顔があった。柔らかな髪が絡まる首元には、いつものように俺のヘッドフォンが乗っかっている。 「よ、しゅ……あ」 あれ、ヨシュアが二人、いる。 「ごめんね、見つけるのが遅くなっちゃって」 どこに行ってたんだ、とか何してたんだ、とか色々言いたいことはあったのだけれど、上手く言葉にすることができない。ぼーっとする頭で上手く考えることができない俺を優しい瞳で見つめると、その華奢な白い手でふわりと俺の頭を一撫でしてから、ヨシュアは俺の前でうずくまっている人物に向かってじゃり、と一歩を踏み出した。 「さて、こんなおイタをする悪い子にはお仕置きしないといけないんだけど」 「ひっ」 地面にへたり込んでいたヨシュア、の形をしたものは、目の前に悠然と立ちふさがる男から逃れるようにずり、と形ばかり後ずさる。ヨシュアを怖がるヨシュア、というのはなんだか変な構図だ。 「ち、ちが……オレ、こんなこと……ちが、うっ」 うろたえた様子でうわ言のように呟く彼からは、先ほどのようなヨシュアと瓜二つの穏やかな空気は跡形もなく消えていた。目の前にへたり込んでいる人物がヨシュアでないことはもはや明らかだけれど、『オレ』と、彼は言っただろうか。それに、徐々に取り繕っていたものが剥がれていくように変わっていく彼の声は、たしか、どこかで。 「うーん? てっきり、お盆で調子づいちゃった子が、暇つぶしに悪戯でもしにきたのかと思ったけど」 不思議そうに首をかしげながらヨシュアはすたすたと彼に歩み寄って、その顔を覗き込むように腰を折った。 「う、あ」 怯えきった様子が、先ほど自分を襲った人物であるとはいえ、なんだか可哀想に思えてくる。 「君のそれ、僕のソウルじゃない」 「な、なに……」 「ふーん……?」 興味深そうにじろじろと自分と同じ顔を眺めてから、唐突にぺた、と彼の額にその白い手を押し付けた。途端にびくん、と肩を跳ねさせる相手にもお構いなしだ。 「い、あ」 「僕のソウルの瘴気に当てられちゃったんだね。君の本来のソウルのかたちを見せてごらんよ」 さら、とヨシュアの細いゆびが表情を隠していた前髪を掻き上げた次の瞬間には、もう一人のヨシュアの姿はまったく別のものに変わっていた。つやのある黒い髪に、少し派手すぎるくらいのピアスを耳に嵌めた彼、は。 「お、まえ……っ」 「あれ、知ってる子?」 飄々と首をかしげるヨシュアの声は、この場ではどこか浮いて聞こえる。けれどあまりの衝撃に、ヨシュアに答える言葉を俺は見つけることができなかった。知ってるも何も、彼は、かつての俺の唯一無二の、親友の。 「音操……」 ――『アイツ』だ。見間違えたりなんかしない。だって、こいつの顔は、そして遺影は、嫌になるほど見たのだから。あのときと何も変わっていない。でも。 「なん、で」 俺と壁グラで待ち合わせた日に交通事故に遭ったと聞いたときには、信じられなかった。けれど、信じられないながらにちゃんと葬式にも出て、花を供えて、線香もあげに行って。それでようやく、時間の経過と共に彼の死というものを理解したというのに。どうして。 「オレにも、よくわかんねーんだけど……あの日、でかいトラックとぶつかって、ああオレ死ぬんだなって、なんとなく分かっててさ。音操のこと待たせっぱなしにしちまったな、とか、なんかそんなことが心残りで」 「……」 「でも確かに死んだはずなのに、気がついたときにはなんでかおまえのこと見てたんだ。昔のこととかじゃなくて、オレの葬式に出てるとこも、線香くれてるとこも見た。それで、ああオレもしかして幽霊ってやつなのかなって、わかったんだけど」 ぼんやりと、浮遊霊という言葉が頭に浮かんだ。現世に未練を残したものがなりやすいというのは、よく聞く話だ。けれどそんな言葉に当てはめるには、目の前のこいつの姿はあまりにリアルで、まるで生きているようで、上手く飲み込むことができない。 「音操のこと一日中見てるときもあれば、一ヶ月くらいいきなり記憶が飛ぶこともあってさ。親父とかおふくろのことは全然見えないのにおまえばっか見てるから、音操の背後霊にでもなったのかと思ってた」 「……バカだな」 「はは、ホントにな」 冗談めかして笑う表情も、言葉に詰まると頭を掻く仕草もあのころのままで、なんとも言えず胸が苦しくなる。 「ネク君に未練を残してたのと、ネク君の強いイマジネーションに惹かれた……んじゃないかな。たぶん」 遠慮がちに口を開くヨシュアも今は戸惑いの方が大きいようで、困ったような表情で彼の隣にしゃがみこんでいた。 「ん、難しいことは、よくわかんねーけど……でも、オレ音操のことずっと心配でさ」 俺が成長した分なのかは分からないけれど、彼の表情は少し幼く感じて、そのことでまた切なくなった。 「オレが転校してきてから音操が明るくなったっておばさんから聞いたことあってさ、すげー嬉しかったんだ。なのに、オレが死んでから音操どんどん塞ぎこんじまって、ずっとオレのヘッドフォンつけたままで周り拒絶してさ。会ったばっかのころに逆戻りしたみたいで、なんもできない自分が悔しかった」 オレの、と彼が口にしたときにヨシュアは少し目を瞠ったようだけれど、それについて弁解するのは今ではないと堪えて、見ないフリをした。 「だから、ずっと音操に、おまえのせいじゃないって言いたくて。おまえと待ち合わせたせいで事故に遭ったみたいに思われてるのが嫌でさ。そんなことでおまえが塞ぎ込むことないって、オレのこと忘れていいから、もっと色んなものに目向けるべきなんだって、ずっと言いたかった」 じわ、と目頭が熱くなってこみ上げてくるものも、くちびるを噛んでぐっと堪えた。 「でも、おまえがヘッドフォン外した日に、おまえの顔見て、もしかしてもう大丈夫かなって思えたんだ。それでやっと安心して、けどこの人がヘッドフォン拾ってから段々頭がボーっとしてきて、音操のことも見えないし、段々自分が分からなくなって……でもしばらくしたら、欲が出てきてさ。最期に、音操に会えたらって、思って」 「君は……もしかして、このヘッドフォンについてた、のかな?」 「ああ、そう言われると、そうなんかな……たぶん」 言葉を捜しながらも一生懸命話す彼の言葉を、ヨシュアは生徒に親身な教師のような表情でずっと聞いている。彼もヘッドフォンと共にずっとヨシュアと在ったせいか、今はもう警戒心はないようだ。 「ならやっぱり、僕のソウルに当てられちゃったんだね。どうにも邪気が感じられないし、ノイズの気配もないからおかしいと思った。お盆になって霊体が少し強くなったから、僕の瘴気にもろに当てられて混乱しちゃったんじゃないかな」 「そう……なんスかね」 「だと思うよ。僕のソウル、他の子にはあんまりいい影響ないから」 「そう言ってもらえると、ちょっとは気が楽ですけど」 苦笑しながらこちらに向き直る彼の姿は、どこか先ほどより薄ぼんやりしてきている気がした。きっと気のせいではないのだろうと、俺もちゃんとわかっている。 「ごめんな、音操。ワケわかんないことに巻き込んじまった上に、痛い思いさせて」 「別に、こんなのどうってことない」 「はは、そっか……でも、オレ、こんな身体でも、最期に音操に会えてよかった」 すう、と見るからに透け始めている彼の肩をヨシュアが辛うじて支えているけれど、ヨシュアのソウルの影響を受けていない今俺が触ることは叶わないだろう。でも、それでも。 「そ、か」 「うん」 「俺も……おまえが言ってくれたこと、すげー嬉しかったし、もう一度」 「うん」 言いながら、ごく自然に笑みを作れたのが自分でも分かる。 「会えてよかった」 どん、と大きな音が空に響いて、花火の打ち上げが始まったことを告げていた。最後に一言、二言何かを告げたのが口の動きで分かったけれど、もうその声も届かない。 「時間だね。打ち上げ花火は送り火も兼ねてるから、迷わずに帰れると思うよ」 アイツはヨシュアに対してはやけにかしこまって、霧散していくソウルを散らしながら小さくお辞儀をした。何も知らないながらも、ヨシュアの底知れぬ何かを感じたのだろうと思うとやけにおかしい。 「じゃあな」 最後にアイツが握ったこぶしをこちらに伸ばしてきたので、ぎゅっと握った手で応えようと腕を伸ばすと、こぶし同士が触れ合う前に彼のソウルは跡形もなくすうっと消えていってしまった。 森を抜けて急いで土手に向かうと既に花火の見物客でごった返していて、それでも空高く上げられる花火は思い切り上を向けばちゃんと見ることができた。出遅れたせいで花火の打ち上げは中盤にさしかかり、空に咲く大輪の花はまもなく仕上げという段階にかかってきている。 人に囲まれながらも俺の右手はちゃんとヨシュアが握ってくれていて、もうさっきみたいにはぐれることはないだろう。先ほど落としてしまったお好み焼きも少し型崩れしていたものの無事だったし、リスのぬいぐるみも箱に守られて汚れてはいなかった。 「このヘッドフォン、彼のだったんだ」 それまでずっと黙り込んでいたヨシュアが、花火を見上げながら唐突に口にした言葉に、一瞬どう答えていいのか分からず言葉に詰まる。 「……悪い、黙ってて」 「ううん、何かくっついてるなーとは思ってたんだけど、特に害もなさそうだなって放っておいたのは僕だから。謝ることはないんだけど」 まあ、流石に俺も形見のヘッドフォンにアイツの幽霊がくっついていたなんて思いもしなかったが。いつまでも俺が世界の音に耳を塞いで、アイツのヘッドフォンに固執していても彼は喜ばないだろうことがゲームを終えてわかったから、手放すことにしたのだ。ヨシュアに拾って欲しかったというのがもちろん、一番の理由なのだけれど。 「イヤだった、か?」 消え入りそうな俺の声に、ヨシュアがふ、と優しく笑ったのが分かった。 「ネク君が大切にしてたものなら、僕にとっても大切なものだよ。だから、イヤではない、けど」 「けど?」 「別に。ただ、ネク君のあんな顔、見たことないなって……思っただけ」 あんな顔とは、どの顔のことだろう。ヨシュアらしくない突き放すような言葉に、思わず首をかしげる。 「もしかして、やきもち、焼いたのか?」 「……」 そうだったらいいな、という願望交じりで口にしただけだったのに、面白くなさそうなヨシュアの無言は俺の言葉を肯定していて、まさかの事態にどく、と鼓動が早くなった。けど、大切ではあるけれどアイツとはただの友達だし、ヨシュアが死者に悋気を向けるなんて、と考えたところで、以前に俺もまったく同じように感じたことを思い出す。赤いヘッドフォンの彼についてヨシュアが思いを馳せていた、あれは去年のお盆だったからちょうど一年前だ。 彼もヨシュアにとってはあくまでも大事な部下で、やましいことなど何もないとわかっていたのに、俺は浮き沈みする気持ちを抑えることができなくて、ヨシュア自身にぶつけてしまったこともあった。やましいことなどなくたって、ヨシュアに対する気持ちや湧き上がる感情をコントロールすることなんてできやしないのだから。 なんだ、同じではないか。そう思ってしまう自分がひどく傲慢なようで、恐れ多い気持ちになる。それでもほんの少し、ヨシュアも俺に対する気持ちを持て余すことがあるのだろうかと思うと、嬉しくもあり、でもどうしていいのかわからない戸惑いの方が多くて、結局それ以上何を言うこともできなかった。 「花火、最初から見られなかったね」 「ああ」 「ヨーヨーもダメにしちゃったし、スーパーボールで遊んでないし、金魚すくいもできなかった」 子どものように今日という日の不満を並べ立てるヨシュアがおかしくて、愛しくて、思わず笑ってしまう。あれもこれもと欲張るヨシュアに、それならと俺も一つくらいは不満を言わせてもらうことにした。 「俺も」 「うん?」 「かき氷、食べられなかった」 すると、花火の音にまぎれてヨシュアはとても嬉しそうに小さく笑った。 「なら、来年もまた見に来ようか」 穏やかに囁かれた言葉の意味が一瞬理解できなくて、花火の大きな音にいかれた耳が都合のいい幻聴を聞いたのではないかと疑ってしまった。思わず花火から目を離してすぐ隣にいるヨシュアの顔を呆然と見上げると、せっかくの花火を見ていたのか見ていないのか、ヨシュアの顔もこちらを向いていた。ふわりと細められるスミレ色は慈愛に満ちていて、その瞳の中に写っているのが俺なのだということが信じられない。 ヨシュアは、次を約束しない、はずなのに。俺のことを縛りたくないと言って、俺を泣かせたくせに。なのに。来年も、一緒に? 「ね」 小さな声でそう呟いて、ヨシュアは一つ軽く触れるだけのキスをおれのくちびるに落とした。その一瞬、周囲の喧騒も、花火の音すらも聞こえなくなってしまって、俺にはヨシュアの透き通るような瞳とくちびるに触れる柔らかな感触だけがせかいの全部だった。 「バカ、ヨシュア……」 口づけを終えるとまたあっさりと花火を見上げ始めたヨシュアに、きっと回りの人間も花火を見ていて俺たちのことなど眼中になかっただろうと必死に冷静ぶって考える。けれど、どう答えていいのか、どうすればいいのかなんてわからないほどに頭が混乱していて、結局ヨシュアの肩にこつんとのぼせ上がった頭を預けてから、つないだ華奢な手をぎゅっと強く握り締めた。 →次へ |