※性描写を含みます。ご注意ください。




 それからヨシュアはすぐに携帯を取り出すとどこかに電話をかけ(恐らく指揮者の彼女宛だろう)被害の出た箇所の修復や死神とノイズの正常化の確認などを早口でてきぱきと指示を出してから、幹部の子達に禁断ノイズの残党始末はよろしくねって伝えておいて、とにこやかに告げながら静かに通話を終えた。言外に含まれていた言葉は、恐らく始末し終えるまで帰ってこなくていいよ、辺りだろうと思う。
 ヨシュアの言葉を借りるなら、あくまで様子を窺いながらヨシュアの指示を待っていたのは指揮者の彼女で、他の幹部はヨシュアの消滅を高みの見物していた側なのだろうと何となく見当はついていたからだ。
 それじゃあ帰ろうか、と俺の手を取って足早に歩き出すヨシュアの背中を追いかけるうちに、これで今回のことは一応の決着を見たらしいことに気がついて、ほっと息をつく。とんだクリスマスになってしまったとヨシュアは言っていたけれど、俺としては結果的にイブの夜からずっとヨシュアと一緒にいられたわけだから、幸福感こそ感じれど不満に思うことなど何一つなかった。
 ゲーム自体は既に参加者の全滅という形で終了しているわけだから、もう今この瞬間からヨシュアは久しぶりの休暇に入ったということで、しばらくはずっと一緒に過ごせるのだと思うと胸が高鳴る。
 と、そうして浮かれた気分でいられたのも、死せる神の部屋の見えない扉をくぐったところまでだった。
「う、っ……?」
 裁かれしものの道の半ばに差し掛かった辺りで、身体の異変に気がついてなんとはなしに立ち止まる。
 始めは身体のどこかが落ち着かないような、妙な違和感を感じる程度だった。けれど徐々にその違和感は俺の身体を大きく侵食し始めて、立ち止まり繋いでいた手を離した俺を不思議そうに振り返ったヨシュアのスミレ色を見上げた瞬間、がくりと膝から力が抜けてその場にうずくまる。
「あ……」
「ネク君?」
「う、く」
「どうしたの、大丈夫?」
 突然うずくまった俺を心配そうに覗き込んでヨシュアの手が伸びてきたとき、一瞬どうしてかその手に触れてはいけないと思った。なぜそう思ったのかわからず、わからないながらもそれは紛れもなく俺にとって恐怖の対象だった。
 けれど自分の身体が思うとおりにならないことで混乱しているうちに、眼前に迫ったヨシュアの滑らかな白い指先が、あっけなくそろりと頬を撫でる。その途端、びくん、と身体が大きく跳ねた。
「ひ、ぃ……あっ」
「ネク、君?」
「う、やぁ、あ……! あ、はぅ……さ、さわっちゃ、だめ、ぇ……!」
 急に大きな声を上げて自分を拒否する俺の尋常ではない様子に、ヨシュアも驚いたのだろう。すぐにその長い身体を折り畳んで跪くと、心配そうな色を湛えたスミレ色の瞳で俺の顔を覗き込んだ。
「どうしたんだい? どこか、怪我でもした?」
「ゃ……あ、ちが、んん、わかんな……はぁ、あぅ……で、でもぉ……」
「でも?」
「は、ぅ……あふ、から、からだ、あつくてぇ……」
 どうしていいのかわからずに、震える両手で自分の身体を抱き締めてはみたものの、一向に身体の異変は収まらない。とにかく身体の内側から壊れてしまいそうなくらい、頭の中までがじりじりと焼けるように熱くて、何かが俺の中で暴れているんじゃないかというような錯覚を覚えた。
 それはすぐに腰が震えるような疼きに変わって、じくじくと俺の身体を蝕んでいく。
「よしゅ、ヨシュアっ……お、おれ、ヘン、だよぅ……」
「うん」
「ふ、うぅ、ヘンに、なっちゃ……」
 自分の身体の急激な変化に戸惑って震える俺の様子を、ヨシュアはしばらく探るようにじっと見てから、ふと何かに思い当たったかのように小さく呟いた。
「ああ……そういうことか」
「ふ、え……?」
「んー、とりあえず、部屋まで戻ろうか? ここだとあんまり落ち着けないし……立てる?」
「たて、な……」
 がくがくと情けなく笑ってしまう膝に泣きそうになっていると、ヨシュアはそっか、と優しい囁きを落としてから強く俺の腕を掴む。びく、と痙攣する俺に構わず、そのまま手を引いて無理矢理立ち上がらせると、背中と膝裏に腕を回して赤ん坊を抱くような格好で俺の身体をひょいと持ち上げた。
「や、あ……っよしゅあ、やだぁ……!」
「そんなこと言ったってしょうがないでしょ。ちょっとだけ我慢して?」
「あふ、うぅ……さわ、っゃあ……」
 背中と膝裏に当たるヨシュアの骨ばった腕の感触も、自然と抱きつく形になってしまうヨシュアの身体の温度も、今の俺には全てが快楽を呼び起こす引き金になってしまって、宥めるようにぽんぽんと背中を撫でてくれる大きな手のひらでさえ拷問のように感じる。
 ひく、ひく、とはしたなく身体を揺らしても、いくら目の前の身体を引き離そうと突っぱねてもヨシュアの腕という拘束からは開放されず、彼の長い脚はそのまま何でもなかったように歩き出した。
 ヨシュアが歩を進めるたびに伝わってくる些細な振動ですら絶妙な刺激に変わってしまうものだから、既に服の中で勃起した性器から漏れ出す先走りでじわ、と下着が濡れるのをまざまざと感じてしまって、あまりの羞恥に声も出せない。
「う、く……うぅ……ふ、うぅ……よしゅ、よしゅあ、ぁ……」
 それからかすかに漏れるヨシュアの呼吸を耳元で受けるたびにびくつく身体を持て余しながら、今までの人生で一番長くなるであろう審判の部屋までの十数メートルの道のりを、ひたすらにヨシュアの名前を呼び続けて泣きじゃくることで耐えるしかなかった。


 ようやく寝室に戻ってきてヨシュアが俺の身体をベッドの上に下ろしたときには、一刻も早くヨシュアの温度から離れたい一心で逃げるようにシーツの上に転がった。
 あと何秒かでも遅ければ、本当に気がふれてしまっていたかもしれないと思うほどの快楽責めから開放されて、だらしなく開いたままの口から細く息を吐き出す。
「は、ぁ……く、あぅ……」
「大丈夫かい?」
 ぎし、とスプリングを軋ませてベッドに腰掛けたヨシュアはいつのまにか脱いだコートを椅子の上に放り投げていて、同じように俺のコートも脱がせると、心配そうにこちらの顔を覗き込んで汗で額に貼り付く前髪をさらりと撫でた。いつもなら、俺を気遣ってくれるその瞳の色だけで嬉しくてたまらない気持ちになるのに、今の俺にはヨシュアのそれだけの仕草が何よりも辛い責め苦でしかない。
「っや、ぁ……さわ、な……さわる、な、てばぁ……っ」
 そのままするするとこめかみから頬へと滑る指先に耐え切れず、いやいやと首を振りながら涙声でヨシュアにうったえても、もうその手を押しのけるほどの余力はどこにも残っていなかった。
「うん、でもねネク君」
「はふ……っあく、えう……うぅ」
 俺が涙をこぼすたびに休まず拭ってくれるヨシュアのゆびにまた泣かされて、制服のズボンに押さえられて窮屈な思いをしている屹立が痛くて、辛くてたまらない。
「多分、今から僕とネク君はセックスしないといけないから、これくらいで泣いてたら持たないと思うよ?」
 何気ない口調でさらりと言われたヨシュアの言葉に、思わず絶句した。今こうして、性感帯でも何でもない部分にヨシュアのゆびが掠めただけでどうにかなりそうなのに?
「あ、う……うそ、だ」
「こんなときに嘘吐いてどうするの。だって、そうじゃないとネク君の身体治まらないよ?」
 ふう、と聞き分けのない子どもに言い聞かせるように軽くため息をつきながら、ヨシュアは頬を撫でていたゆびを俺の胸の上まで移動させ、繊細な手つきで制服のネクタイとボタンを外してから、そのまま心臓の辺りまでつう、となぞった。
「ひ、ぃっ」
「ネク君の、ここにさ」
「あ、あっ……! やめ、ひゃめ、ぇ」
「さっきソウルを貰ったときに、僕のノイズ化したソウルが逆流して入り込んじゃって、ネク君の身体の中で暴れてるわけ」
「あ……うぁ、あぁ……あっ、あっ」
 のんびりとした口調で説明しながら、ヨシュアの指先はくりくりと俺の心臓のちょうど上にある銃創をわざとらしく弄る。
 そこはあのゲームでヨシュアに撃たれたときに出来たもので、これまでに散々玩ばれて身体に快楽を覚えこまされたせいで、今ではそこを撫でられただけで簡単に射精できるくらいにまでなっているのだ。そんな場所を何食わぬ顔でぐりぐりと容赦なく抉るヨシュアが信じられなくて、たまらず大きな声を上げて泣きじゃくった。
「だめ、ぇ……っよしゅあ、そこ、そこはぁっ……!」
「ダメじゃないでしょ? ここ、大好きなクセに」
「ひやぁ、やら、やらぁ……! よしゅ、やだぁっ」
 思わず頭の上のシーツを掴んで身をよじって逃げようとしたものの、あっさりとヨシュアの大きな手のひらに手首ごと捕らえられて、シーツの布地に縫いとめるように簡単に押さえ込まれる。
「あ、はぁっ……! あ、あっ……あぁ」
「あれ、もしかして今のでいっちゃった? ああ、けど、ココはまだきつそうだね」
「はふ……ぅ、あ……もぉ、やぁ……」
 かちゃかちゃと鳴るベルトの金属音はまるで死刑宣告のように俺には聞こえて、なのに器用に片手でベルトを外して下着ごと制服のズボンを脱がせるヨシュアの手を拒む術など、何も持ってはいない。
「いや? 本当にいやなの?」
「うぅ……や……」
「だってほら、ネク君のこれ……ここに来るまでに何回出したの? どう見ても、一回分の量じゃないよねぇ」
 言葉では必死に否定してみせても、ヨシュアの言うとおり露になってぴんと立ち上がった俺の性器は太腿まで溢れ返るほどの精液でべたべただった。ヨシュアのゆびが悪戯に先端をつつくだけで、ぬちゅ、ぬちゅ、と簡単に淫猥な音が立つ。
「やあ、ぁ、それ……っやめ、えぇ」
 くすくすと笑いを漏らしてゆびの腹で裏筋を撫で上げながら、唐突にヨシュアの爪が割れ目に食い込んだ瞬間、俺の性器は続けざまに勢いよく精液を吐き出した。
「ッ……!!」
「ああ、また出ちゃった。でもほら、まだまだ全然治まらないみたい」
 尿道に残った精液まで余すことなく搾り出すようにヨシュアの長いゆびでぎゅ、ぎゅ、と刀身を扱かれて、あまりに容赦のない責めにがくがくと腰が震える。
 もう声を上げることもままならずに、ただ開いたままのくちびるからとろとろと唾液が流れ出すのに任せた。
「だからさ、ここにね」
 もう抵抗どころか逃げ出すことすらできなくなった俺の身体を察したのか、だらりと力を失くす手首を拘束していた手を離すと、ヨシュアは俺の脚を押し開いてそのまま陰嚢の奥の窄まりへとゆびを滑らせる。そのままつぷ、と容赦なく二本も押し込まれて、びくん、と身体が跳ねた。
「今の僕のソウルを新しく注いで中和してあげないと、ずっと辛いままになっちゃうから」
 労わるような優しい声音で囁きながら、ヨシュアのゆびはそんな言葉とは裏腹にぐちゅぐちゅと遠慮なく動いて、押し上げて、俺の粘膜を探る。
「う、やぁっ……よしゅ、あ、やらぁ……ゆび、ゆび、やめ、れぇ」
「そう? ふふ、でもネク君のここ、きゅうきゅう僕のゆび締めつけて喜んでるみたいだけど」
「ひぃ、ん……!」
 く、と一番敏感な性器の付け根の裏側を指先で小突かれて、身も世もなく喉を引き攣らせてむせび泣いた。
 ヨシュアのソウルを注げばいいだけの話なら、もう慣らす必要などなくヨシュアのかたちを覚えこまされている俺のそこをしつこく長いゆびでこねくり回す必要などどこにもない。それなのに止めてくれないのは、ヨシュアは絶対今の俺の状況を楽しんでいるからだという他なかった。
 辛くて、苦しくて、たまらなくて、漏れる嗚咽も止められないくせに、それでも俺の口は勝手にヨシュアの望む言葉を紡いでしまうのだ。
「よしゅ、あ……よしゅあ、おねがい……っゆび、やぁ、なの……!」
「そうなの?」
「よしゅあの、よしゅあのでっ……して、ぇ……!」
 必死で懇願してみせても、ヨシュアは涼しい表情を崩さずにただくちゅくちゅと音を立てて後孔を玩び、俺の身体を震えさせる。
「うぅ、ぅ……うぅ、やら、っしゅあ……あっあ」
「僕の、何?」
 とろけるように甘い声音でゆっくりと囁くヨシュアに、どうしたら抵抗できるのかなんて俺にはわからない。
「よしゅ、あの……おっきくて、かたいので、なか……いっぱい、こすって……!」
「うん」
「あったかいの、たくさん、飲ませてほしい、の……あぁ、ふぁっ」
「あは。ほら、ネク君のここ、またぴゅっぴゅしてる。もうカラになっちゃいそうだね」
 俺の話を聞いているのかいないのか、後孔を弄くっているのとは反対の手でくい、くい、と射精の止まらない屹立を押して遊ぶヨシュアは無邪気な子どものようで、喉から漏れる嗚咽も、身体の痙攣も余計に酷くなる。
「よしゅ、ねが……おれ、おれえ、ぇ……! は、ひゅ……はふ……あうぅ」
「はいはい、わかったよ。じゃあほら、ネク君も手伝って」
 ヨシュアはいかにも仕方ないなあと言いたげな表情でスラックスのウエストを寛げると、力の入らない俺の手を包み込むように掴んで下肢へと導いた。それから下着をずらして取り出した自身の性器を俺の手に握らせてから、ゆっくりと擦り上げるように動かし始める。
「ん、く……よしゅ……あっ」
 まだ何の反応もせずくたりとやわらかかったヨシュアの性器が、徐々に形を持ち始めるのがはっきりと伝わってきて、俺の手で感じてくれているのかと思うと興奮のあまり頭がどうにかなりそうだ。
 手のひらにヨシュアのものが擦れて、先走りでべとべとに濡れる感触にすら感じてしまい、漏れる声が抑えられない。
「あ……ふ……あ、くぅ……あつい、よぉっ」
「うん、ちゃんと上手に大きくできるじゃない。いい子」
「よしゅ、の……かたくて、お、おっきくて……ふあ、あつ、いの……っはふ、あふう、ぅ」
 俺が必死にヨシュアの手の中で性器を擦る間も、ヨシュアは俺の身体のナカに入り込ませたゆびをくちくちと悪戯に遊ばせて腰を震えさせるものだから、もうどうにも我慢なんてできなくなる。ヨシュアの骨ばった手に包まれたまま徐々に硬く大きくなる屹立を握る感触だけで身体が震えて、限界をうったえるように身をくねらせて涙声で懇願した。
「よしゅあ、これ、これちょうだい……っも、ほしい、ほしいよ、ぉ……!」
「ふぅん?」
「ょしゅ……の、で……れの、なか、いっぱいにして、ほしいの……っ」
「そっか」
 ひ、ひ、と喉をひくつかせて哀願すると、ヨシュアはやわらかく微笑みながらゆっくりと俺の脚を抱え上げて、ぺた、と露になった後孔に自身の先端を押し当てる。
「これを……ここにね?」
「は、あふ、あ……よしゅ、よしゅあっ……よしゅあぁっ……」
「ふふ、よだれ垂らして……そんなに欲しいんだ。かわいい」
「ほしいのっ……ちょう、だい……よしゅあの、よしゅあのぉ……!」
 半狂乱になって声を上げる俺に、ヨシュアは俺の口からだらだらと溢れる唾液をちゅ、ちゅ、と音を立てて舐め取りながら、くすくすと小さく笑い声を漏らしたかと思うと、何の前触れもなく押し当てた屹立を一息にねじ込んだ。
「あ、っあぁぁ……!」
 散々焦らされて、飢えて、欲していたものを唐突に与えられて、満たされる内部にがく、がく、とどこかが壊れてしまったかのように強く身体が痙攣する。そのままお構いなしに動き出されて、悲鳴を上げることすらままならなかった。
「う、あぁ……あふ、あくぅ……えあぁ……」
「ネク君、すごくうれしそうな顔。そんなにきもちいい?」
「んん、んぅ……んく、んん……よひゅ、よひゅあ、ぁ……んあぁ……あふ、ぅ……」
 びく、びく、と俺の腹の上で揺れながら脈打つ屹立はもうまともに射精することができなくて、壊れた蛇口のようにただとろとろと緩慢に精液を垂れ流している。際限のない快楽にもはや右も左も分からなくなって、ずっと達し続けているかのような絶頂感が止まらない。
「よしゅ、おれ、いくの、とまんなっ……さ、さっきから、ずっと、ぃきっぱなし、なの……!」
「そう、きもちいいんだ。よかった」
「あふ、ぅ……こ、な……おれ、こわれ……こわれちゃ、あ……っ」
「へぇ……そうなんだ。それって、嫌なの?」
「へ……」
 遥かに許容量を越えた快感に、弄ばれた身体も頭の中もぐちゃぐちゃだった。それでも笑うヨシュアの声は、歌うように耳に心地いい。
「僕にされるの、ネク君はいやなの……?」
 穏やかな声色で一つ一つの単語を優しく諭すように囁かれると、何が正しいのか、間違っているのか、いいのか、悪いのか、全部がわからなくなって、ただ今この場で俺にとって確かなものは目の前のヨシュアだけなのだと、それだけを理解した。
「あ……う……」
「いや?」
「や、やじゃ、ない……! して、してほしいのっ……こわれても、い、からぁ……っ」
「うん」
「しゅあ、だけ……こわ、してもいぃの、よしゅあ、だけ、なの……!」
「うん。じゃあほら、口開けて、舌出してごらん。もっといっぱいきもちいいことしてあげる」
 そう言って俺の口を割り開くヨシュアのゆびに促されて素直に舌を差し出すと、近づいてきたヨシュアのくちびるから覗く舌にゆるゆると絡め取られる。
「ん、んぅ……く、ふぅ……んん」
 始めは舌先だけで遊ぶように触れ合わせられて、徐々にくちびるを合わせて口腔に入り込まれると、丁寧に歯列の一つ一つをなぞられた。上あごを探られるくすぐったさに身をよじろうとしても簡単に押さえ込まれて、舌の先を噛まれたり、吸われたりしながら、注ぎ込まれるヨシュアの唾液を必死になって飲み込む。
 最終的に舌の根まで暴かれて、あまりに容赦のない責め立てにきゅう、と喉の奥がひくついた。
「ん、はっぁ……あふ、うぅ……んく、ぅ……しゅ、あ、よしゅあ」
「ネク君、キス好きだもんね。きもちいい?」
「き、もちぃ、きもちい、よぅ……しゅあ……もっと、もっとぉ……!」
 ヨシュアの首に回した腕でそのやわらかな髪ごと掻き抱きながらせがむ俺に、ヨシュアはゆるゆると緩慢なキスを続けながら、強く俺の身体を突き上げて追い立てるように粘膜を掻き回す。
 硬く張り詰めた先端が一番敏感な粘膜を押しつぶすたびに声が漏れて、体内の怒張がびくびくと脈打つ鼓動に合わせて身体が揺れた。
「ふ、ぅあ、あっ……う、よしゅ、のぉ……なかで、びくびくして、るぅ」
「うん。ネク君のナカ、きもちよくて……も、出ちゃう、かも」
「あふ、ぅ……だ、だすの? おれのなかで、ぇ、だす、のっ?」
「うん……出しても、いい?」
「うぁ、あはぁ……はぁ、あぅ、うん……うんっ……だして、いっぱい、だしてぇ……!」
 ぎゅう、としがみついた腕に力を込めると、一際深くヨシュアの屹立に突き上げられて、それからすぐにびゅく、びゅく、と温かいものが腹の中を濡らす感触が広がった。ぬるぬるしたものが徐々に隙間から漏れ出して、尻から太腿へ流れていく感覚にゆるゆると頭が揺れる。
「あぁ、あっ……! あ、はぁ、あぁ……!」
 もう俺の性器からは先走りすら出せなくなっていたけれど、びく、びく、と跳ねる身体に俺も同じタイミングで達してしまったことがわかった。けれど、ふるふると揺れる俺の屹立は一向に萎える気配がなく、相変わらず身体を支配する焦燥感にどうしていいのかわからなくて、ひ、ひ、と情けない嗚咽が漏れる。
「あは、まだ治まらないね。ネク君のここも、もっともっと、って言ってるよ」
 くいくいと無邪気に性器の先端をつつくヨシュアのゆびから逃げようとして思わず腰が引けそうになったけれど、その言葉で今の俺をこの状態から救い出してくれるのはヨシュアしかいないのだと理解して、ぐっと堪えた。悪びれないヨシュアの笑い声に、終わりの見えない快楽責めにくらくらと眩暈がする。
 そもそも俺がこうなったのはヨシュアのソウルが原因なのに、少し前まで俺に触れるのすらためらっていたしおらしい様子はどこへ行ってしまったのか。けれど、ヨシュアはそんな俺の考えることなど全てお見通しのようにこう言うのだ。
「ごめんね? ネク君、かわいいから」
 そんな風に言われてしまったら、俺はうれしくてうれしくてたまらなくて、もっとヨシュアに自分のはしたないところを隅々まで全部探って、見て欲しくてたまらなくなる。
 だから、もうどうすることもできなくて、結局ヨシュアの三回目の射精でようやく俺の身体が落ち着くまで、甘えるようにヨシュアの身体にしがみついたまま大きな声を上げて泣きじゃくった。



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