※性描写を含みます。ご注意ください。




 ドキドキ、する。
 仕事終わりにシャワーを浴びて部屋に戻ってきたヨシュアは、とすん、と俺の寝そべるベッドの端に腰掛けた。
 いつものようにヨシュアの寝るスペースを空けて端に寄っていた俺に、身体を伸ばしてちょん、と口づけてくるヨシュアの髪はまだ湿っていて、頬に当たる感触が少し冷たい。
 風呂上りの上気した肌で色気を振りまくヨシュアにはドキドキしっぱなしだし、当たり前のように触れてくるくちびるにも、そんなヨシュアを自ら誘うように身を寄せる自分の挙動にも戸惑うばかりだ。
 俺に覆いかぶさるように身体をずらして抱き寄せてくるヨシュアの腕にも、シャツの隙間から差し入れられて胸をそっと撫でる指先にも、どうしようもなくドキドキする。
「どうしたのネク君、緊張してる?」
 胸の尖りにゆびの腹で触れられて、ぴくりと身体を跳ねさせる俺を宥めるように耳元や首筋のあちらこちらに口づけながら囁かれると、吐息のあたたかさで余計に身体が震えた。
「な、なんでっ」
「ココ」
「んん……っ……」
 するすると滑るヨシュアの手のひらが、子を労わる母親のような優しい手つきで心臓の上に押し当てられる。
「ドキドキしてるから」
 そうやってヨシュアの手で押さえられると、どくどくと脈打つ音が身体中に響いて、改めて自分の鼓動の速さを思い知らされた。
「するの、いやだった?」
 ヨシュアの口から出てきた予想外の言葉に、慌てて首を振る。
「ち、ちがう! そんなわけないっ」
「ほんとに?」
「そうじゃ、なくて……」
 じっと見つめてくるスミレ色の瞳があまりに無垢で、いたたまれない。
「そん、なの……」
「うん?」
 そんなの今更だって、俺はそう思うのに、今になってヨシュアは何も知らないような顔で首をかしげるのはずるいと思う。
「おまえとするときは、いつも緊張してるに決まってる、だろ……」
 こうしてヨシュアが当たり前のように触れてくれる距離に自分がいるというだけで、ドキドキしない要素を見つけるほうが難しいというのに。
「そうなの?」
「そう、だ」
 やっぱりヨシュアは何もわかっていないのか、わかっていてわざと言っているのか、こちらの方がわからなくなる。
「僕はネク君に触ってると、すごく安心するんだけどな」
 ああほら。
 まったく、ヨシュアがさりげなく口にするそんな言葉の一つですら俺にとっては爆弾だ。
「だっ……て」
「んん?」
「俺の身体で、おまえが気に食わないところがあったらどうしようって」
 俺が男なのはもう今更だけれど、ただでさえあちこち痩せっぽちで骨ばっていて、触って楽しい部分なんて自分でも思いつかないというのに。
「うん」
「ち、近すぎて、何かおまえの気に障ることしたらどうしようって……こわいん、だよ」
 こうして話しているだけでお互いの吐息が前髪を揺らすのがわかるほどの距離に、吐息ひとつで、まばたき一つでヨシュアを不快にさせるのではないかと考え始めたらきりがない。
 不思議そうに俺を見下ろすヨシュアは髪の一筋、肌のきめ細やかさ一つとっても、どこもかしこも作り物のようにキレイだから、余計に。
「ふふ……そんなの、僕のほうがたくさんネク君に嫌われることしてそうなものだけど」
 視線一つで見るもの全ての自由を奪ってしまうような蕩ける瞳で、吐息を感じただけで喉を鳴らさずにいられないやわらかなくちびるで、よくそんなことを言えたものだ。
「ネク君こんなに細いし、僕って力加減下手だからさ」
 ヨシュアの器用な手でいつのまにかシャツのボタンは全てはずされていて、つつ、と胸から腹まで撫でる指先に、思わず身をよじった。
「んぅ……っく、ふぅ」
「壊しちゃったらどうしようとか思うんだけどね」
 けれど先ほどのヨシュアの言葉を思い出して、嫌がってるなんて思われたくなくて、慌てて体勢を戻した。苦笑するヨシュアの声に、かあっと身体が熱くなる。
「そん、なの……前から何回も言ってるっ……」
「知ってるよ、僕なら壊してもいいんでしょ?」
 改めてヨシュアの口から言われるとなんて恥ずかしい台詞を過去の俺は吐いたものだろうと思うけれど、俺の本心であることは間違いないので、何も言わずに襲いかかる羞恥心を耐えるしかない。
「困るよねぇ」
「ふ、あっ」
 俺の下着をずりさげてくるくると下腹部を彷徨っていたヨシュアの手が、ふるふると勃ち上がり始めていた俺の性器を唐突に掴んで、思わず変な声を上げてしまった。
 そのままゆっくりと丁寧な手つきで擦られて、みるみるうちに溢れた先走りがヨシュアの手を濡らす。
「やぁ、あぅ……っうぅ」
「ほら、こんなところも簡単に触らせたりして」
「んんぅっ……よしゅ、よしゅあっ」
「ネク君って、ほんと」
 くちゅくちゅといやらしい音を立ててヨシュアの滑らかなゆびが動くたびに、はぁはぁと息を荒げながらはしたなく腰を揺らしてしまう。
「かわいい」
「は、あぅ、ふ……やぁ、あっ」
 先走りで濡れたヨシュアの手が離れるのを感じて、思わず腰を浮かせて擦りつけように追いかけた。するとそのまま後ろに滑ったゆびが後孔をゆっくりと撫でて、つぷりと押し込まれる。
「はぁ、あ、や、あっ」
「ひくひくしてる。ナカもふわふわで」
「ん、んぅっ……ん、んく、ふぅ……」
「やらしい」
 ヨシュアの長いゆびを根元まで押し入れられて、ぬちぬちと穿られるたびにびくん、びくん、と腰が跳ねてしまう。
 そうすると俺の身体はヨシュアのものの硬い感触を思い出さずにいられなくて、じわじわと口内に広がる唾液をごくんと飲み込んだ。
「よ、しゅあっ、お、おれ」
「うん?」
「なめ、たい……よしゅあの……!」
 辛うじてシャツを一枚引っかけているだけの俺と違って、きちんと着込まれたままのヨシュアの部屋着のウエストに手を伸ばしながら思わず懇願する。そうすると、なぜだか困ったように笑うヨシュアの表情を見て、俺はまた何か間違えてしまったのだろうかと不安になった。
「あ、う……だ、めか……? イヤ?」
「ううん、そうじゃなくて……いいのかなって。ネク君のほうこそ大丈夫?」
「う、ん……」
 こくりとうなずいてみせても、未だに心配そうなヨシュアの表情に子ども扱いされているようで、なんとなくいたたまれない。それでも素直に俺の中からゆびを引き抜いてベッドヘッドにもたれる形で座るヨシュアの気が変わらないうちにと、いそいそとのしかかった。
 股間に顔を寄せながらヨシュアのものを取り出すと、まだやわらかいままの竿を支えながら先端にちゅ、と口づける。そうすると優しく俺の髪を撫でてくれていたヨシュアの手の動きが一瞬強張って、俺の挙動一つでヨシュアが反応してくれることになんだか変な気分になった。
「ん、んん、ぅ……」
 先端を口に含んでちゅうちゅうと吸いつきながら、添えた手で一生懸命擦り上げると、徐々に熱を持って硬くなる屹立にドキドキと胸が高鳴る。
 どくどくと脈打つ性器の割れ目から少しずつ漏れ出てくる先走りが嬉しくてぺろぺろと舐めとっていると、ヨシュアのゆびにくん、と髪を引っ張られて、慌てて顔を上げた。
「ご、ごめ……い、痛かったか?」
「あ、ううん、そうじゃないん、だけど……気持ちよくて」
 とろりとやわらかく目を細めながら言われた言葉で、自分でもあからさまに頬が熱を持ったのがわかる。
「へ……あ、う……そ、そう、なのか」
「うん。もっと、して」
 普段なら滅多に聞くことの出来ないヨシュアからの要望に、思わず高まった股間を右手でぎゅう、と押さえながら再びヨシュアのものを口内に迎え入れた。
 じゅるじゅるとはしたなく音を立ててヨシュアの味を何度も味わっているうちに興奮が抑え切れなくなってきて、屹立が張り詰めて大きくなっても口の中いっぱいに頬張ってしまうのをやめられない。
 気がつけば、ヨシュアの性器を舐めしゃぶりながら自身の股間に滑らせた手でぐちぐちと後孔を慰めていた。
「んぅ、んく……っはぁ、ふ、ぁ……よしゅ、うぅ」
「ふふ……我慢できないの? 自分で触っちゃうなんて」
「や、ぁ……う、あうっ、らめ、いま……っさわ、ちゃっ」
 するりと背中を辿ったヨシュアのゆびがくにくにと後孔のふちをこね回して、がくがくと震える身体に思わず咥えていた性器を離す。快感をこらえるようにヨシュアの白い下腹部に額を押しつけると、首を振るたびにぺたぺたと屹立が頬を叩いて、その感触だけで頭の中がぐちゃぐちゃになった。
「は、あふ、う、うぅ……も、あっ……ほしい、よぉ」
「うん?」
「はぁ、はぁ……ふ、よしゅ、の……これ、これほしい、の……っ!」
 ぬちぬちと漏れる先走りで頬を濡らす屹立が愛しくて、すりすりと頬を擦りつけながら懇願した。すると、くす、と吐息のような笑いを漏らしたヨシュアに優しく肩を押されて、すとん、とやわらかなシーツの上に押し倒される。
 そのまま大きな手が俺の脚を掴んで、ぐい、と持ち上げられると、腰の下に大きめのクッションを押し込まれた。
「よ、しゅ……あ」
「僕も、早く入りたいな。入れていい?」
 ぺたりと先端を押し当てながらそんなことを甘い声で囁かれて、断れる奴がいたらぜひそいつの顔を見てみたい。
「う、うんっ……うんっ……は、はやく、ぅっ、はぁ、あふ……ほし、い……!」
 みっともなく腰を揺らすたびにぐずぐずとヨシュアの先端が浅い部分の粘膜を擦って、こんな風に恥も外聞も捨ててヨシュアを求める俺を嫌だと言われたらどうしようと頭の隅で考える。けれどいつまでもじくじくと身体を苛む熱に、高まる欲望を抑えることなんてできない。
「ふふ、ネク君のココ一生懸命ぱくぱくお口開いて、僕の先っぽもぐもぐしてる」
「や、あ……やら、やらぁ……! うぅ、ふぇ……じらす、な、てばぁ……っ」
 先端を浅く埋めたまま意地悪く入り口を擦るヨシュアの服を引っ張って、もどかしく腰に脚を絡めてみても、ヨシュアはただ楽しそうに俺のことを見下ろしている。
「そんなに欲しいの?」
「あ、く……はふ、あうぅ……も、ほんと、にっ……! ねが、よしゅ、よしゅあぁ……っ」
 じりじりと頭を焼く焦燥感に耐えきれずけほけほと咳き込みながら哀願すると、ヨシュアは薄く開いたくちびるでやわらかく口づけながら、ゆっくりと押し当てた屹立をねじこんだ。
「う、あぁ……! あ、あ、あっ」
「んん……すごい、ネク君のなか、あったかい」
「あふ、んぅ……ん、んんぅっ……」
 ちゅ、ちゅ、と子どもにするようなキスであやされて、ゆるゆると粘膜を割り開くヨシュアの性器が奥に入り込むたびに、幸せすぎて死ぬんじゃないかと思った。時折眉を寄せて何かを堪えるように漏れるヨシュアの吐息の熱だけで、俺の頭なんて簡単にぐずぐずになってしまう。
「よしゅ、のも……あついっ……おっきぃ、よぅ……!」
「大丈夫? 苦しくない?」
 先ほどあれだけ欲望を口にさせておいて、この期に及んでヨシュアはまだそんなことを言う。でも繰り返し与えられる口づけは俺に呼吸のリズムを教えてくれるかのように優しくて、徐々に奪われる思考に文句の一つも出てこなかった。
「んく、んぅ……らいじょ、ぶ……きもちぃ、の……っ」
「そう。よかった」
「あ、あぅっ……お、おく、ふかい、よぉ……!」
 みっちりと根元まで埋められた屹立が信じられないくらい奥まで届いて、まだ大人姿のヨシュアの性器の大きさには慣れていないのだけれど、それだけ深くヨシュアと繋がることができているのだと思うとうれしくてたまらない。
「ふふ……奥、好き? こういうのとか?」
 優しい声音で囁きながら、ぐ、と膝を押されて、抉るように強く腰を押しつけてくるヨシュアに思わず大きな声を上げてしまう。
「ひ、ぃ……いあ、やぁあ……らめ、らめぇ……! そ、な、しちゃ、あ、あぁ……っ!」
「だめなの?」
「だめ、らめ、えぇ……あふ、あ、あうぅっ……!」
 あまりに過ぎる快感にぶるぶると首を振ってみせるのに、ぐ、ぐ、と何度も深い部分を抉られて、自分でも気づかないうちに射精してしまっていた。
 勃起しきった性器は先ほどからヨシュアの腹に擦られっぱなしだったから、びゅるびゅると吐き出す精液でヨシュアを汚してしまうのがたまらなくいたたまれない。
「あは、だめって言ってるのに出ちゃったね。やっぱり気持ちいいんだ」
「や、あ……はぁ、はぅ、ら、え……らめぇ、なのっ……こんな、おれ、おれぇ……」
「うん?」
「へっへんに、なっちゃ……だめになっちゃ、のぉ……!」
 いやいやと頭を揺らしながら必死でヨシュアの胸を押し返してみても、普段でさえ力でなんて敵いっこないのに、こんなぐずぐずの状態で覆いかぶさるヨシュアをどうこうできるわけがない。
 抵抗する手はあっさりとヨシュアの大きな手に掴まれて、壊れ物を扱うように優しくシーツの上に縫いとめられた。
「いいんだよ、もう。ダメになっても」
「うっ……ふ、えぇ……」
「だって、ネク君は全部僕が貰っちゃったんだから。ダメになっちゃっても、僕が面倒見てあげるから大丈夫だよ」
 ぼろぼろと際限なくこぼれる涙でぐちゃぐちゃの頬に口づけながら、ヨシュアが甘やかな声で囁く。その言葉を聞いてしまったら、じわじわと意味が頭に染み入るうちに、俺は俺の全部を既にヨシュアの足元に投げ出してしまっていたのだと思い出した。
 それならば、欲望も快楽も、全部をヨシュアに預けてしまうほかないではないか。
「ん、くぅ……んく、き、もちぃ……ヨシュア、おれ、きもちいい、のっ」
「そう。気持ちよさそうにしてるネク君かわいいから、いっぱいしてあげるね」
「う、ん……っいっぱい、いっぱい、して……! いっぱい、だめにしてぇ……!」
「はいはい、がっつかないの」
 ふんわりと聖母のように優しく微笑むヨシュアが愛しくて、白い首筋に腕を伸ばしてぎゅっとしがみつく。そうすると子どもにするようにぽんぽん、と背中を撫でてくれる手のひらの感触がうれしくて、同時に体内を擦る屹立の硬さに声を上げて泣いた。


 朝、目が覚めるとヨシュアに抱き締められている。
 最近では当たり前になってしまった光景だけれど、俺は未だに慣れなくて、なんとなく感慨深くなってしまう。
 今まで俺がRGにいたときは、ヨシュアと会って夜を共にしても、次の日の朝にはいなくなってしまっていることが常で、それが当たり前だったからだ。
 それが今は離れたら俺の存在が消滅してしまう(すぐさま消えてなくなるわけではないので、大げさな言い方だが)というのだから、うれしくて面映い。
 いつもはヨシュアのほうが早起きなのだけれど、今日は珍しく俺が目を覚ましてもヨシュアは静かな眠りを守ったままだった。
 今日はせっかくの休みだし起こしてしまうのもしのびなくて、ヨシュアの腕に抱かれたまま動くこともできずに、じっとヨシュアのキレイな顔を見つめる。
 ヨシュアは昨晩、する前に俺がドキドキしているなんて指摘してきたけれど、正直ヨシュアと一緒にいてドキドキしないときなんてない。
 伏せられた睫毛は頬に影を落とすほどの長さだし、腕のいい職人が長い時間をかけて作り上げたかのような造作はまさに見とれるほどで、繊細な髪が首筋に絡まる様子など淫猥過ぎてとても直視などできない。
「ん……」
 ぴくりと白い瞼が震えて、数回の瞬きの後に透きとおるようなスミレ色の瞳が現れる。淡い色彩の睫毛に彩られて、吸い込まれてしまいそうな美しさに見入って動けなくなった。起こしてしまっただろうか、と心配する余裕もない。
「あれ、僕のほうがお寝坊さんだった? おはよう」
「お、はよう」
 当たり前のように俺の頬を撫でて優しくキスを落とすヨシュアのくちびるに、たとえ毎朝のことだとしても慣れろというのは土台無理な話だ。ただでさえ日本人のそれとはちがう、触れ合わせると言うよりはほとんど食んでいると言ったほうが正しいヨシュアのキスには、翻弄されっぱなしだというのに。
「ん、んぅ……ふ、はぅ……」
「ふふ、ネク君キス上手になったね」
「んんぅ、む……そ、んなの、ヨシュアが毎日するから、だろ」
 くちびるを触れ合わせたまま喋られると、ヨシュアの吐息を直接飲み込ませられているようで、余計にドキドキして落ち着かない気持ちになるのだけれど。
「最初のころは歯ぶつけたりしてたのに。ふふ、まああれはあれで可愛かったけど」
 思いもかけぬ話題に恥ずかしい記憶を呼び起こされて、熱くなる頬を隠そうと思わずうつむく。いつの話をしているんだ、昔の話を持ち出すのは反則じゃないのか。それにヨシュアのキスの上手さのほうが例外なんだ、絶対。俺は全部が全部ヨシュアが初めてなんだから、拙い部分も目を瞑ってしかるべきじゃないのか。
「で、でももう、子どもじゃないんだ、し」
「そうだね、ずっと一緒にいてくれるんだもんね?」
 そう言って微笑みながら俺の額にキスをするヨシュアは、やっぱりいつまでも俺を子ども扱いしているように思うのだけれど。
「う、きょ、今日も散歩、行くだろ?」
「うん」
 頬の熱を悟られたくなくて(恐らくはバレバレなのだろうけれど)誤魔化すように口にした言葉に、ヨシュアは素直にうなずきながらも俺を抱きこんだままごろごろと懐いて離れない。
 以前からヨシュアが日課にしていた渋谷内の散歩について行くのがこちら側に来てからの俺の日課でもあるのだけれど、そんな風にべたべたされると俺のほうが離れがたくなってしまう。
「もう、起きないと」
「んー……ネク君ゆたんぽみたいであったかいから、もう少しだけ」
 そんな風に甘えるような声音で囁かれて、俺が無下にできるわけなんてないってヨシュアはわかってやっているに違いないのだけれど、正しくその通りなので抗いようがない。
 そういえば昨日はあのまま二人でごろごろしたまま眠りについてしまったから、出かける前にシャワーを浴びなくてはと思いながら、ヨシュアのあたたかな胸に頬を擦りつけた。



一緒にいながらお互い何となく距離を測っているのがかわいいと思うわけで。 20110405

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