※性描写を含みます。ご注意ください。




 ベッドの上で熱くなった体に触れられるといつもひんやり冷たく感じるヨシュアの手が、外の冷たい空気が頬を切る今はじんわりと温かく感じる。
「ネク君、寒くない? ごめんね長引いちゃって」
 ヨシュアのコートのポケットに俺の右手をお邪魔しているせいで、その長い脚に見合わぬゆったりとした優しい歩幅で俺に合わせて歩いてくれるヨシュアが、ふわりと髪を揺らしながらこちらを見る。子どもにするように身を屈めて覗き込んでくるヨシュアに、くすぐったい気持ちになりながら大丈夫、の意を込めてゆるゆると首を振った。
 コートとマフラーはちゃんと身につけて出てきたというのに、久しぶりの外出で手袋というものを失念していたせいで、ヨシュアの手袋を片方借りた上に、もう片手はヨシュアのむきだしの手と一緒にポケットに居候させてもらわなければいけなくなってしまったのだ。やはり真冬ともなれば渋谷でも手袋一つが欠かせないほどに冷える。
 ましてや今日などは吐く息が白くなるのは当然ながら、ちらちらと雪まで舞い始めているのだ。ヨシュアが手にしている折り畳み傘(ちなみに濃紺にストライプの洒落た柄で、憎らしいくらいヨシュアに似合っていた)の下で身を寄せながら、歩きにくくはないだろうかと心配してしまう。
 買出しのついでに散歩でもしようか、と普段は渋谷川にこもりきりの俺を連れ出してくれたのだけれど、そういう割にはどの店に入って出てきてもヨシュアは買い物袋の一つも手にしてはいない。買出しという名目の仕事の一環なのだろうなと察して、店員と怪しい雰囲気で話し込むヨシュアの横で何も聞かずにじっと待っていた。
 暖房の効いた店内から出て通りを歩けばあっという間に冷気が身体に浸透して、先ほどはヨシュアに心配などかけたくなくて大丈夫などと言ってしまったけれど、無意識のうちに近くの熱を求めてぎゅう、とポケットの中の大きな手を握る。
「やっぱり寒い?」
「あ、いや、そっそうじゃなくて」
 途端にすぐまたこちらを振り向いて苦笑するヨシュアにぶるぶると首を振ってみても、聡いヨシュアには稚拙な誤魔化しなんてお見通しだろうと思うとなんとも情けない。
「部屋に戻ったらいっぱいあっためてあげるから、もう少しだけ我慢してね」
 俺のそんな些細な動作ですぐに察してくれるヨシュアの言葉はやっぱりくすぐったくて、嬉しくて、部屋に戻ってからのことを思うと身体が熱くなって、無意識のうちに足を速めていた。


 部屋に戻ると一番に俺のマフラーとコートをハンガーにかけて、自分のことは二の次なヨシュアはやっぱりすごく過保護だと思う。そんなに子どもじゃないと言いたい気持ちもあるものの、それよりも強く嬉しいと思ってしまう俺も俺なので、おあいこなのだけれど。
「やっぱり結構冷えちゃったね」
「ん……」
「ネク君細いから、脂肪が足りてないんじゃない?」
 それはあまり関係ないと思うのだが、痩せぎすの俺の身体が不満らしいヨシュアのお小言はいつものことだ。
 そんなことより今は俺の手をそっと両手で包み込んで、優しく撫でる、というよりは擦ってくれているヨシュアの手つきの方が問題だった。
 ヨシュアはただ温める目的でしてくれているのだろうけれど、コートを脱いで楽な格好でベッドに腰掛けているとつい不埒なことを想像してしまう。
 ヨシュアの骨ばった彫刻のようなキレイな手が何度も俺の皮膚の上をなぞる動作を見ていると、いたたまれなさについ悪いことをしているような、見てはいけないものを見ているような気分になってくる。優雅で滑らかな仕草は度を越すといっそいやらしいんだなとどうでもいい発見をした。
「ネク君って末端冷え症なのかな? いつも外から帰ってくるとゆび真っ赤で可哀相」
「やっ……」
 そのまま捕えた手を口元に持っていって悪戯に口づけるヨシュアのくちびるの柔らかさに、漏れる吐息で皮膚が湿る感触に思わず肩が跳ねる。心臓に悪いので、そういうのは本当に、やめて欲しいのだが。
「そん、なの、知らなっ」
「でも女の子みたいでかわいい。ふふ、こうしてるとちっちゃい子みたいだし」
「うぅ……もぉそれ、やだ、ってば……!」
 ちろちろと舌先で爪の間をくすぐられて、性感にも似た絶妙な感覚に思わず声を上げて手を引くと、ヨシュアはあっさりと解放してくれた。はぁはぁと漏れそうになる息を噛み殺しながら、後ろ髪を引かれるような名残惜しい感覚は気のせいだと自分に言い聞かせる。
「足も冷えちゃったでしょ? 雪降ってたし、しもやけになっちゃうよ」
「あっ」
 そうかと思えば今度は右足首を捕まえられて、強引に引っ張られたせいでバランスを崩して自然と後ろに手をつく形になる。ものすごく無防備でみっともない格好に、人間というものは足一本押さえられただけで容易に動けなくなるんだなとまたしてもどうでもいいことを考えた。
 俺の足首なんて簡単に一回りしてしまうヨシュアの手のひらの大きさにドキドキしてしまうのだって、相手はヨシュアなのだから仕方ないではないか。
「ほら、まっか」
 ぺろりと靴下を引っぺがして、楽しそうに俺の素足を撫で始めるヨシュアの方こそ、お気に入りのオモチャを見つけた子どものように無邪気だ。
 残念ながら、ヨシュアのゆびがするすると足の甲からゆびの間へと滑る感触に、俺は無邪気でなどいられないのだが。
「ふ、うぅ、や、らっ……くすぐった、い」
「そ? でもほら、ちゃんとあっためないと、後で心配でしょ」
 そのまま両手で挟み込むように撫で擦られて、丹念に指先をなぞる感触も、足の裏を支える手が悪戯に土踏まずとかかとを彷徨う感覚も、とてもくすぐったいだけで誤魔化せる範囲をとうに超えていた。
 分かっているのか分かっていないのか、と言えば絶対にヨシュアはわかってやっているに違いないのだけれど、ちらりと見上げた先でふわりと笑って首をかしげてみせるヨシュアの無垢な瞳に、どうしても逆らおうなんて気持ちは起こらない。
「はい、じゃあ反対側」
 でもこれだけで感じてしまっているだなんて恥ずかしくて、いやらしい奴だとキレイなヨシュアに思われたくなくて、必死で声を噛み殺している間に今まで散々こねくり回していた右足があっさりと放り出される。そのまま流れるように左足を掴まれて、先ほどと同じように遊び始めるヨシュアの気まぐれさに頭も身体もついていかない。
「ネク君は親指がいちばん長いんだね」
「ん、く……ぅ、はう」
「つめもちっちゃくてかわいい」
 ヨシュアの声で一つ一つ指摘されると、今まで気にもしたことがないようなどうでもいいことが恥ずかしくてたまらなく思えてくる。俺の身体の部位に一つでもヨシュアの気に食わない部分があったらどうしようと心配になる。
 爪の形を一つずつ確かめるように指先を滑らせながら、愛しげに目を細めるヨシュアの優しい表情が俺のうぬぼれでないことを信じたいのだけれど。
「ん、んぅ、う……よしゅ、あ」
 そんな俺の内心を知ってか知らずか、相変わらず俺の足をオモチャにするヨシュアはふと悪いことを思いついた子どものような顔をすると、そのまま顔を伏せてあろうことか爪先にちゅ、と口づけた。
「や、あ!」
「全部かわいい」
「やだ、やだっ……やあ、ぁ、やめっ」
 ふんわりと微笑んだままぺろぺろとゆびの間を舐め始める濡れた感触に、ヨシュアの神聖なくちびるにそんなものを含ませているというのが信じられなくて、何度も制止の声を上げるのにヨシュアは聞いてくれない。変に暴れるとヨシュアを蹴ってしまうかもしれないと思うと身動きすら満足に取れなくて、じわじわと湧き上がる罪悪感に胸が押しつぶされそうになる。
「ひ、ぅ、く……っう、ふえぇ……やめ、え……ってばぁ……」
 ついには溢れ出す涙が止められなくなってしまって、情けなく嗚咽を漏らす俺をちらりと一瞥しながらも、ヨシュアは気にする素振りも見せずこれ見よがしに足首まで舐め上げてみせる。
「どうして泣くの? 別に痛いことしてるわけじゃないでしょ」
「ふ、うく……うぅ、って、らって……ぇ」
 俺はヨシュアを汚すようなことはしたくなくて、それくらいなら俺がといつも思っているのに、ヨシュアは時折こんな風にその気持ちを踏みにじって試すようなことを好んでする。それで俺がどう感じるかなんて、どんな気持ちになるかなんて、ヨシュアに分からないはずがないのに。
「ふふ……でもここは気持ちいいって言ってるみたいだよ?」
 ようやく俺の爪先からくちびるを離してするするとヨシュアの指先が内股を滑り上がる感触に、びくびくと跳ねてしまう身体を隠すことなんてもうできっこない。からかうような声音で指摘しながらつんつんといつの間にか張り詰めてしまっていた股間をつつかれて、大げさなくらいに身体が痙攣した。
「ひ、ぃんっ」
「ネク君は恥ずかしいこととか、イヤだって思ってることされた方が興奮しちゃうんだよね? ホントはイヤなんかじゃないんだよね」
「ち、が……ちがぁ……っう、くぅ……あうぅ」
「ほら、もう寒いところない? ちゃんとあったまった?」
 するすると反対の手でわき腹から胸元まで捲り上げながらそんなことを聞くヨシュアは意地悪で、愛しくて、憎らしくて、いつもどうしようもなくなって泣きたくなる。けれど泣いていてもヨシュアは優しくしてくれないから、必死で絡まる喉から声を発して懇願する以外に術なんてないのだ。
「こ、こ……さわ、さわ、って……ふ、あくぅ……んん、さわってぇ……!」
「ふぅん? でももうこんなに熱くなっちゃってるから、温めなくてもいいんじゃない?」
「や、ぁ……あふ、うくぅ……ふえ、ぇ」
 ヨシュアの手をひったくってぎゅっと股間に押しつけてみても、そんなことを言って戯れるヨシュアは一向に俺の懇願なんて聞いてくれていない。
「ふ、ぅ、いじ、いじわ、るぅ……! よしゅ、の……ばかぁっ……」
「へぇ、どの口がそんなこと言うの?」
 ぐずぐずと泣きじゃくりながら苦し紛れに憎まれ口を叩くと、ヨシュアは面白そうに目を細めてそのまま胸元を弄んでいたゆびでぴんと立ち上がる乳首をぎゅっとつまんだ。赤く膨れて存在を主張するそこから走るもどかしい快感に、ひぐ、と喉から変な声が漏れる。
「ねぇ、どの口が言うの?」
「あ、く、らめ、それ、らめぇっ」
「そんなに悪い子だったっけ、ネク君って」
 指先だけでなく言葉でまで責め立てられて、言うことをきかない身体がびくびくとみっともなく震える。
「ひぅっ……は、あふ……うぅ、もぉ、やら……あっあ、らめ、てばぁっ……!」
「ねえ? 悪い子になっちゃったの、ネク君は」
「っめ、なの……ひ、ん……あく、はぁ、はうぅ……」
 くに、くに、とヨシュアの白い指先が乳首をこね回すたびに信じられないくらい身体が跳ねて、下肢に直接響く快感が既に辛いほどだ。咄嗟に掴んだヨシュアの服を何度も引っ張っているせいで皺になってしまっているけれど、気にしている余裕なんてない。
「はぁ、はふっ……も、いっちゃ、から……でちゃう、のぉ……!」
「ふふ……まだ何もしてないのに」
「ふ、ぅく……おねが、しゅあ……」
 本当にこのまま胸を弄られているだけで射精してしまいそうで、ぐすぐすと泣きながら自分の手で下着ごとズボンをずりおろした。とろりと先走りを漏らしながら勃起しきった性器がぴんと立ち上がって、自ら恥部を暴いて見せつけているという羞恥に、目眩がする。
「よしゅ、にしてほし、の……さわ、てて……ぇ、ほし、のっ」
「ふぅん?」
「お、ねがい……よしゅあ、おねがい、しますっ……」
 品定めをするような無機質なヨシュアの視線に晒されているだけで今にも達してしまいそうで、焦燥感に駆られて恥も外聞も捨てて涙声で情けなくうったえた。
「僕の手でいかせて欲しいなんて、やらしい子」
「あ、はぁ……あぁ……!」
「ほら、いいよ? 出したいんでしょ?」
 ようやく俺の願いを聞き届けてくれたヨシュアの手がぎゅっと濡れそぼる屹立を握った瞬間にもう我慢も理性もどこかに行ってしまって、びくつく身体を抑えられないまま呆気なく射精してしまった。
 びゅく、びゅく、と欲望を吐き出すたびに受け止めるヨシュアの手に粘液がこびりつく様を見て、えもいわれぬ背徳感と満足感で胸がいっぱいになる。
「あは、出ちゃったね」
「はぁ、はぁっ……ん、んくぅ……ふ、はふ」
「好きでしょ? ネク君、自分の精液で僕の手ぐちゃぐちゃに汚すの」
「ふ、あ」
「こうしたかったんだよね?」
 見せつけるように俺の鼻先でぬちゃぬちゃと精液をまとわりつかせて遊ぶヨシュアに、ドキドキと胸が高鳴っているのを自覚してしまってはその言葉を否定することなんてできない。
「す、き……」
「ふふ、悪い子だね」
 そのまま口元に粘つく指先を押しつけられて、無言の催促に逆らうことなく口を開いた。キレイなヨシュアのキレイな手を汚してしまったのは俺だから、きちんと掃除しなくてはいけない。
 ぺろぺろと舐め取る精液が自分のものではなく、ヨシュアのものならもっと嬉しいのにと悪いことを考えながら無心で飲み込んでいるうちに、段々と掃除よりもヨシュアのゆびをしゃぶることに夢中になってしまう。
「ネク君、もういいよ?」
「んぅ、む……あっ……」
「そんなにしゃぶったら、僕のゆびなくなっちゃうじゃない」
 くすくすと冗談交じりで笑いを漏らしながらゆびを抜き取られて、いつも優しく触れてくれるヨシュアの手がなくなってしまったら寂しくて死んでしまうかもしれないから、名残惜しい気持ちは押し込めて素直に糸を引く唾液を舐め取るに留めた。
「上のお口も気持ちよさそうだけど、ネク君はこっちも好きでしょ?」
「ふ、あっ?」
 ぬるりと濡れた指先が尻たぶを滑って、そのままひくつく後孔を押し広げる感触に思わずヨシュアの首に腕を回してしがみつく。
「ねえ、好き?」
「す、き……! すき、なの……っよしゅあの、よしゅあので、いっぱいぐじゅぐじゅしてもらうの、だいすき、なの……!」
「そう、僕ので?」
 問いかけながらヨシュアのゆびは悪戯に何度もくちゅくちゅと粘膜の焦れったい浅い場所を弄繰り回すものだから、変に跳ねてしまう情けない声で言葉を紡ぐほかなかった。
「う、ん……うんっ、よしゅ、のおちんちんっ……はぁ、あぁ……っほし、ほしいの! よしゅあのおちんちん、ほしいのぉ……!」
 子どものようにしがみついたままはしたなく何度も腰を揺らすと、ヨシュアはかちゃかちゃと自身のベルトを外して、豊かな淡い色の茂みからまだ勃起していない性器を取り出した。微笑むヨシュアにしがみつく手を取られて、そのままくたりと垂れる性器を握り込ませられる。
「あっ……」
「じゃあほら、一緒に触って」
「う、うんっ……」
 ヨシュアの大きな手に包まれながら、勃起していないにも関わらず十分な質量を感じる性器を握るのは、何度繰り返しても慣れることなんてなくて、いつでもドキドキしてしまう。それでもなんとかヨシュアにも気持ちよくなって欲しくて必死に手を動かすと、徐々に硬さを持ち始めるのがたまらなく嬉しい。
「よしゅ、あ……よしゅあっ……」
 先走りでぬるぬると手が滑る頃合になると、時折ヨシュアのくちびるから何かを堪えているかのような吐息が漏れて、ますます心臓がうるさくなった。ヨシュアが俺の手で感じてくれているという、これ以上の幸福があるだろうか。
「上手に大きくできたね」
「ふ、うぅ……おっき……すごい、かたくなって、ぅ」
「うん、これが今からネク君の中に入るんだよ。わかるよね?」
 ね、と確認するように首をかしげながら、後孔にうずめられたままのヨシュアの滑らかな指先がくちゅくちゅと動く。いつもヨシュアのものが与えられたときの言い知れぬ満足感を思い出して、それだけでもう我慢なんてできない。
「う、あっ……あぅ、よしゅあっ、おねがい……! ほしいの、もぉ……がまんできない、のぉっ!」
「ああ、そんなによだれ垂らして……かわいい。じゃあほら、入れるよ?」
「あっ、ふあ、あぁ……!」
 なりふり構わぬ俺の懇願に、ヨシュアは苦笑しながら唾液で汚れ放題の口元を手の甲で拭ってくれて、くぷ、と音を立ててうずめたゆびを抜き去る代わりに、勃起した自身の性器を間を空けずにそのまま押し込んだ。
「よしゅあ、よしゅあっ……! あふ、あうぅ……はぁ、はうぅ」
「んん、そ、んなに締めたら、いたい、ってば」
「あ、ごめ、なさ……んん、ふぅ、あつ、いぃ……!」
 ヨシュアに痛い思いなんてさせたくないのに、でもそっと顔を上げた先で痛みに顔を歪めるヨシュアの表情がなんとも色っぽくて、無意識にぎゅうぎゅうとナカの屹立を食い締めてしまう。今ヨシュアが痛いのも、気持ちいいのも、全部俺が与えているんだと思うと頭がおかしくなりそうなくらい興奮した。
「もう、しょうがないなぁ。ほら、くち開けて」
「ん、むぅ……ふ、あ」
 身体を痙攣させたまま一向に落ち着かない俺を見かねたのか、ヨシュアは優しい手つきで頬を撫でたかと思うと、顎を掴んで強引に俺のくちびるを割り開いた。そのままやわらかな感触に塞がれて、ぬるつく舌が口内を蹂躙する。
「んん、ぅく、ふ、うゅ……んちゅ、ぅ、ふぅ……」
 子どもをあやすようなヨシュアの優しいキスで、先ほどまであんなに強張っていた身体からいとも簡単に力が抜けていく。注がれる唾液すら俺にはとても甘く感じられて、飲み込むたびに感じる恍惚と酩酊感で頭がくらくらした。
「はぁ、はふ……よしゅ、うぅ……らめ、きす……やぁっ」
「うん? どうして?」
「ん、くぅ……は、らめ、てば……んん、ん……また、すぐ、いっちゃ……からっ」
「ふふ、まだ入れただけだよ?」
「こ、こわい、のっ……きもち、すぎて……は、あぅ……すぐ、でちゃう、からぁ……!」
 ヨシュアの舌で口内を探られるたびに、舌を吸われてつるつるの歯で甘噛みされるたびに、下肢と直結する快感が身体中に走ってどうにも逃げ場がない。その上、締めつけが緩んだのをいいことに徐々に突き上げる動きを強くされては、感じるなという方が無理な話だ。
 だというのに、顔を逸らして必死で逃げる俺の頬を強引なゆびで捕まえて、ヨシュアは相変わらず動物のようにくちびるを舐めたり、やわらかく食んだりの悪戯をやめてくれない。
「だ、めぇ……らめっなのっ……! んん、ぷぁっ……あ、はぁ……こわ、こわいん、だってばぁっ」
「いいよ、好きなときに出して。キスしながら出すの、ネク君好きでしょ」
「やぁあ、らめぇ……んんぅ、んー……っふあ、あぁう……!」
 喋れないように噛んだ舌先をそのまま引っ張られて、にぢゅ、と掠めただけで泣きたくなるような快感が生まれる場所を強く突き上げられて、堪えられずにそのまま達してしまう。
 ひくん、ひくん、と絶頂の余韻に身体を震わせている間もヨシュアはくちびるへの愛撫をやめてくれなくて、本当にこのままどうにかなるんじゃないかと思った。
「出ちゃったね」
「うぅ、ふえ……えう、あふ……えあぁ……」
「なか、すごいびくびくしてる。気持ちよかったんだ?」
「あぅ……あ、はぁ、う……も、ゆるし、てぇ……きす、やぁ……んん、んんぅっ……」
「ほら、こぼれてるよ。ちゃんと飲んで」
 あまりの快楽責めに堪えきれず思わず身じろぎしてみても、体内に打ちこまれたヨシュアの熱が余計に粘膜を擦っただけで、どこにも逃げ場がない。ヨシュアのゆびがこぼれた唾液を掬って再び口内に押し戻す仕草だけで、おかしいくらいに身体が跳ねる。
 それから飽きもせず何度も俺のくちびるを食んで、内部を掻き回して遊ぶヨシュアの気ままな行為に、情けなく嗚咽を漏らして泣きじゃくるしかなかった。


 外にいるときはコートもマフラーも身につけていても寒さに手がかじかむほどだったけれど、ベッドの中でヨシュアの腕に抱き締められているというだけでこんなに温かいのは不思議なものだな、となんとなく考える。
「ネク君寒がりだから、冬はいつもかわいそうだなって思ってたんだけど」
 先ほどから何度も俺の髪を指先に絡めては遊んでいたヨシュアが、ぽつりと何気なく落とした言葉が意味ありげで思わず首をひねる。するすると反対の手で背中を撫でる仕草は、先ほど俺の手足を擦ってくれた優しい感触を思い出した。
「?」
「でも寒がりで冷え症なネク君の方が僕があっためてあげられるから、僕はうれしいなって」
「ふ、え」
「だからやっぱり、そのままのネク君が一番いいなーって」
 今はどうやら甘やかしスイッチが入っているらしいヨシュアのヨシュアらしからぬ言葉に、思わずかーっと身体が熱くなる。冬でもヨシュアの言葉一つあれば湯たんぽいらずだな、なんてどうでもいいことまで考えた。
「な、なら」
「うん?」
「俺が寒くないように、ヨシュアがずっと一緒にいてくれないと、やだ……」
 今日のようにRGにまで繰り出して外出したのは本当に久々で、相変わらずごった返す人ごみを歩きながら、今自分が生きている世界と消滅と隣り合わせのヨシュアの日常とのギャップを思って、密かに落ち着かない気持ちになっていた。
 ヨシュアはちゃんと俺のことをもらってくれたし、ずっとずっとヨシュアのものでいさせてくれるって左手薬指にはまっている指輪に誓ってくれたのだけれど。
「もちろん。ネク君のことぎゅってして、あっためていいのは、僕だけだよ」
 俺の他愛もない不安をたった一言で安心に変えてしまえるヨシュアと離れるなんて考えられなくて、あたたかな胸に顔を埋めてぎゅっと抱きついた。



ヨシュアさんの足の指は人差し指が一番長いと思います。
春日さんからネタのヒントいただきました。ありがとうございました! 20110223


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