※性描写を含みます。ご注意ください。




「ヨシュア、俺……」
 玉座に座る僕の前へ唐突に立ち上がって、身を躍らせたネク君の表情がやけに艶っぽく……そう、まるで女の子のように見えたのは、驚いたことに気のせいではなかったらしい。
「……? どう、したの?」
「あ、の……」
「なんだかいつものネク君じゃないみたい」
 その言葉を聞いた瞬間びくりと肩を震わせながらも、ネク君は不安そうな表情とは裏腹に強引な仕草で僕が手にしていた文庫本を除けると、膝の上にぺたりと座り込んできた。
 ついさっきまでは読書に耽る僕の横で大人しく座っていてくれたと言うのに、彼にしては珍しく僕の意思を無視して我を通すような行動へ出たことに、些か驚く。
 一時記憶をなくしていた時分に見つけた玉座の足元の床、という場所がネク君はいたくお気に召したらしく、仕事中でも普段のときでも大抵はそこを定位置として落ち着いていた。
 まあ別に今は仕事中でも何でもなく、ただ習慣となっている読書に時間を当てていただけだから構わないのだけれど、と素直に文庫本を背広のポケットに戻した。
「珍しいね、いつもは僕から言わないとお膝になんて乗ってくれないのに」
 言いながら、膝に乗るネク君の尻がいつもは骨が当たって痛いときすらあるほどなのに、やけにふんわりと柔らかい感触だけを伝えてくることに気がついて首をかしげる。心なしか、ノースリーブからむき出しの腕やらハーフパンツから伸びる足やら、全体的な腰つき体つきやらがどことなく柔らかで丸みを帯びているような。
「ヨシュア、お、おれ」
 先ほどまで遠慮がちに膝の上で腰を浮かせたりしていたものの、ネク君は思い切った様子で僕の身体に密着するように首に腕を回して抱きついてきた。
 そのことでようやく確信する。まず、いつもなら下腹部から太腿周辺に当たるはずのネク君の股間のモノの感触がない。逆に、ぎゅっと押し当てられる形になった胸から、本来ならありえないはずの感触を確かに感じる。
「ネク君、きみ……」
「俺、ヨシュアにもっと気持ちよくなって欲しく、て」
 なぜ自分が今こんなに彼に対して違和感ばかり抱くのか、ということの正体には思い当たったものの、あまりに突拍子もない事実に不覚にも呆然としてしまって、上手くネク君の言葉を受け止めることができない。
「お、女の子の身体は柔らかくて、すごく抱き心地がいいって聞いた、から……」
 そう、彼は今まさに彼ではなく、紛れもなく『彼女』なのだ。少なくとも肉体的には。
 どうやって、というのは僕の中で疑問にすらならない。なぜなら少し前から彼は立派なUGの住人であり、僕のソウルを受けている影響もあって、死神なら当たり前に行使できる程度の力は既に持っているからだ。
 サイキックしかり、低位同調を始めとする肉体を構成するソウルの再構成、あるいは結合規律の調節しかり……彼はコンポーザーである僕のソウルを常日頃から共有しているのだから、肉体の性別を作りかえることなど造作もない。
 まあそれはそれとして、『どうやって』よりも重要なのは『どうして』の方だ。
「……そんなこと、誰から聞いたんだい?」
「え……この間読んだ本に書いて、あった」
 彼がつい最近読んだというなら、間違いなくそれは僕の書斎の本棚に収まっているもののはずである。ネク君にそんな悪影響を及ぼす本を手元に置いていたとは知らなかった。
「女の子ってちゃんとそういう風にできてるから、ヨシュアも抱き心地いいほうがいいだろ……? 多分、こっちの方が慣れてるだろう、し」
 一方的に決め付けるような言い方をしながらも、ならばなぜ彼の瞳は不安でいっぱいに揺れているというのか。
「ネク君、僕は」
「ヨシュアが、どのくらいの方が好きか聞いたことなかったから、控えめにしてみたんだけど」
 自分の中の不安を覆い隠すようにネク君は僕の言葉を遮って、その身体に触れていいものかどうかわからずに彷徨う僕の手を掴むと、服の裾を捲り上げるようにして直に柔らかく膨らんだ胸へと導いた。
「も、もっと、ぁ……お、大きい方がよかった、か?」
 ふにゅ、とネク君にされるがままの僕の手が乳房を掴むたびに、おっかなびっくりという様子で彼の……まあ彼ということにしておこう、小さな身体が何度も跳ねる。
 彼の言葉の通り、その膨らみは特別大きいものでもなく、下着をつけていない割には服がゆったりしているせいで傍目には分からない程度だった。ただ、触れれば柔らかく形を歪めるそれは普段のネク君のものではありえない。
「はぁ、な、なんか……うぅ、へんなかんじ、する、ぅ」
「……」
「や、やっぱり……はぁ、はふ……お、女の子って、胸もきもちいい、っのかな?」
 ネク君は男の子のときでも十分胸だけで感じられるようになっていたと思うけど、とは頭を過ぎったものの、無粋な言葉で水を差すこともないかと思い直して言わずにおいた。
 既に息を荒くして甘い声を上げるほどに彼が盛り上がってしまっているのは、抱えている不安の反動なのだろうか。
「んぅ、うく……なんか、おなかがきゅう、ってして、むずむず、するっ……」
「ネク君……」
「ぁ、よしゅ、あ……こ、こっちもっ」
 何度も自分の胸を擦りつけるようにして押さえていた僕の手を離すと、ネク君はもどかしそうにかちゃかちゃとハーフパンツのウエストを緩めて下着ごとずり下ろした。愛撫にも満たない動きでただ胸を擦っていただけなのだけれど、彼のそこは下着と糸を引くほどにべったりと愛液で濡れそぼっている。
 分かっていたことなのだけれど、見慣れたいつもの彼の股間ではない女の子の秘部が現れたことに、何とも言えず複雑な気分になった。これでも僕は一途にネク君だけに操を立てているので、久しぶりに見る女の子のそれからは奇妙な懐かしさすら感じる。
「あ、っ……」
 先ほどまで何かに駆り立てられているかのように積極的だったネク君の動きが、その途端にぴたりと止まった。自分の股間を見て、呆然とした表情で視線はそこへと釘付けになっている。
「どうしたの?」
「……ん、と……」
「もしかして、女の子の見るの初めて?」
 ふと思い当たったことを口にすると、みるみるうちにネク君の顔は真っ赤になってしまって、恥ずかしそうに俯いた。僕と出会ってからはネク君も僕一筋なはずだから、彼の年齢を考えるとそれも仕方のないことだろう。
「えっと……こ、ここ?」
 おずおずと立てた膝を広げて再び僕の手を取ったネク君が、まるで見当違いの場所にゆびを導くものだから慌てて訂正する。
「もう少し後ろじゃない?」
 そんなところにゆびを入れたりしたら痛いなんてもんじゃないと思うのだが。
「あ、えと……んと……ここ?」
「うん」
 ようやく正しい場所に辿り着いたネク君はほっと息をつくと、そのまま僕の手を使ってぬるぬると滑る割れ目を撫で始めた。まだ恐怖心が勝ってしまうのか、挿入するまでは至らないらしい。
「ふ、ぅ……やぁ、あふ……あ、ぅ」
「すごいね、もうこんなにびしょびしょ」
「ひう、ぅ……うく、はぅ……しゅ、あ、よしゅあぁっ……」
 ぬちぬちと膣口を撫でるだけで先ほどまでの余裕なんてなくなってしまったかのように何度も首を振るネク君は、強すぎる快感に戸惑っているようにも見えた。女性の快感は男性の何十倍とも言うけれど、当事者ではない僕には想像もできない。
 ふと女の子の身体を知らないネク君は、当然のようにここも知らないんだろうなあと思ったら、ついむくむくと悪戯心が顔を出してしまい、まだ包皮に包まれたままの陰核へ親指を伸ばしてそっと押してみた。
「ひぃ、っ……あっ!」
 その途端に、ぷるぷると小刻みに震えていたネク君の身体が大きく跳ねて、快楽に染まっていた表情が信じられないとでも言うように驚愕に変わる。
「やだっ、な、に……やぁあ、よしゅあっ、やだぁ……!」
「ああ、やっぱり知らないんだ。女の子の気持ちいいところ」
「ひぐぅ……! やめ、よしゅっ……そこ、やめてぇ!」
 必死で僕の手を押さえ込もうとするネク君を尻目に肉芽を守る包皮をつるりと剥いてから、蜂の尻にも似た小さなそれをきゅっと摘み上げた。
「いあぁっ……!」
 くっくっと引っ張ってみたり、反対に押しつぶしたり、気ままに指先を動かすだけでネク君の身体は面白いようにびくびくと揺れる。
「やめぇ、やめれぇ……っやだ、しゅあ、こわい、こわいの、それぇ……!」
「そう? でもこれって男の子のおちんちんと似たようなものじゃない?」
「ひう、あふ、はうぅ……ゆるし、ゆるしれぇ……! らめ、えぇ……っ」
 そんな風に泣きじゃくりながらネク君が震える度に、膣口に押し当てたままのゆびが粘膜の煽動によってぬぷぬぷと埋まっていく。その度にネク君はまた身体を跳ねさせるものだから、気がつけば膣の内部へと完全にゆびが入り込んでいた。
「やぁ、あ、はいっちゃ、はいっちゃ、あ……よぉ……」
「入っちゃったね」
「あく、あふぅ……よしゅ、のゆび……なが……っ」
 僕とネク君のゆびを二本咥え込むそこは痩せっぽちな身体に似て狭く、それでもとめどなく溢れる愛液の滑りで何なく付け根まで飲み込んでしまっている。後孔とは違う柔らかな襞の感触や熱くうねる内奥を撫でるように掻き回すと、また新しい愛液が溢れ出て僕とネク君の手をべたべたにした。
「はぁ、はうぅ……やだ、ぁ、こんな、あぁ」
「嫌なの?」
「あくっ……はく、うぅ、こんなの、しらないっ……こわ、こわい、ぃ……!」
「でも、だってネク君が押さえてるから僕じゃ抜けないのに」
「なんか、くるぅ、きちゃうっ……! やぁ、あぁ……!」
 僕の言葉を聞いているのか聞いていないのか、まあ恐らくそんな余裕などないのであろうネク君はそのまま強く痙攣すると、びく、びく、と内部を蠢かせながら達したようだった。
 初めて体験する女の子の身体での絶頂はどうだったかと感想の一つでも尋ねたいところだけれど、残念ながらぐったりと僕に身体を預けるネク君はうめき声一つ漏らせずに不規則な呼吸を繰り返している。
「大丈夫?」
「……っ、ん……く……」
 ふるふると微かに首を振る栗色のつむじを見つめながら、くたりと力の抜けてしまったネク君の手と一緒に内部に埋めていたゆびをずるりと引き抜いた。
 それからあやすようにぽん、ぽん、と背中を撫でていてやると、ようやくネク君は正体を取り戻した様子でゆっくりと顔を上げる。
「……あ……ご、めん……」
「うん?」
「よ、ヨシュアも、ちゃんときもちよく……」
 初めて味わう快楽に振り回されて正体不明になっていたようだけれど、当初の目的に立ち返ったらしいネク君はいそいそと僕の服を肌蹴ると、まだ柔らかく頭を垂れたままの性器を掴んだ。
 そのままゆっくりと竿から先端にかけて扱き始めるネク君の手はいつもと同じようで、でもよくよく見ると少し違う、やはり女の子の手をしている。
「……? あれ……」
「あー……」
 それからしばらくは身を任せていたけれど、いつもならとっくに勃起しているであろう頃合になっても僕の性器は一向に硬くならず、へにゃりとネク君の手にもたれているばかりだった。
「お、おっきくならない……」
「みたい、だねぇ」
「わ、悪い、きもちよくない、か? 俺、なんかヘンなことした?」
 しどろもどろになるネク君に苦笑しながら、そろそろいいだろうかと僕のものを握るネク君の手をそっと掴んで取り上げる。
「うん……ネク君、もうやめよっか」
 あまりに突拍子もないことが起きたものだからどうしたものかと様子を窺っていたものの、こうなってしまっては誤魔化すこともできないだろう。
 僕の言葉をどう受け取ったのか、愕然と僕を見つめ返すネク君の表情は見る間に泣きそうなものへと変わる。
「あ……ご、め……おれ、お、おれ」
「ああ、そんな顔しないで。ネク君としたくないわけじゃないんだよ。そうじゃなくて」
「……?」
「ネク君は、女の子の身体で僕と最後までして、本当にそれで満足?」
 なるべく傷つけてしまわないように柔らかい声音で問うたつもりだったけれど、それでもネク君は核心を突かれてしまったかのようにぴくん、と肩を跳ねさせた。
「仮に僕が女の子のネク君を受け入れたとして、男の子のネク君はどうしたらいいの?」
「え……」
「ここはUGだから、確かに身体なんてどうにでもなるよ。でも、ネク君は……僕を好きになってくれて、僕が好きになったネク君は、男の子なんだよ?」
 僕は女の子じゃない男の子のネク君を好きになって、ネク君も僕に対してはそうだったはずだ。彼が女の子だったなら、きっとこんな風になったりしなかった。そもそも出会ってすらいないかもしれない。
 僕はネク君のことが好きだ。だからこそ、性別なんて、肉体なんて関係ないだなんて、どうでもいいだなんて思わない。好きだからこそ、ネク君の生まれ持ったかたちを、心を、魂を持った彼でないとダメなのだ。
 僕自身がそれこそ肉体も、空間も、世界すらも簡単に形を変えてしまえる身になったからこそ、強く感じるようになったことだった。唯一無二の肉体を持つということは、それだけで尊い。
 好きだから何でもいいなんて詭弁だ。それはどうでもいいということと、何も変わりはしないのだから。
「ネク君の心は男の子なのに、僕が女の子の君を選んだりしたら、君はきっと苦しくなるよ。たぶん、ずっと苦しいままになっちゃう」
「あ……」
 女の子の身体を持つネク君は、僕の好きになったネク君ではないから。
「僕は、男の子のネク君を裏切ることはできないから」
「よしゅ、あ」
「ごめんね?」
 それでもネク君が自分で考えてそうしたいのなら、と思って流れに任せていたけれど、見ているとどうにも彼自身苦しくてたまらないといった様子が隠せていなかった。彼がそうしたいと思ったのではなく、最初の言葉通りただひたすらに『僕に』いいようにと考えた結果だったのだろう。
 以前から何かと彼は自分の身体が男であることや、痩せぎすで面白みのないことをいつも気にしているようなことをこぼしていた。僕はそんなネク君を好きになったのだし、実際彼の抱き心地は悪いどころか相性がいいのもあって非常に具合がいい、ということを今までに何度も伝えているはずなのだけれど、今回のことでまだまだ全然足りていないらしいということが分かった。
 分かってくれないというのなら、分かるまでその身体に、心に教え込むまでの話だけれど。
「あ……ご、ごめっ……ごめん、ヨシュア、おれっ」
「うん」
「あ、あの……目、瞑っててくれる、か……? す、すぐ、終わるからっ」
 今にもこぼれ落ちてしまいそうな涙をぐっと堪えて、必死な様子でこちらを見つめてくるネク君の一生懸命さに思わず笑みを漏らしながら、言われたとおり素直に瞼を下ろす。
 先ほど触った感じだと恐らくBカップくらいだったと思うけれど、ネク君はあれくらいが好きなのかな、などと暢気なことを考えながらじっと待っていると、思いの外早いタイミングで彼が動いた。
 ふわり、とやわらかくくちびるに温かいものが触れた感触を合図に、ゆっくりと目を開く。
「お、おれ……これ、で……いい、のか……?」
 開けた視界の先にあったのは、いつもどおりの見慣れた男の子の身体のネク君だった。きちんと股間のモノもついているし、あばらの浮いた不健康な印象の胸もまっ平らだ。全体的な体つきも、柔らかい印象が取れて節くれだった関節の目立つものに戻っている。
「うん」
「俺、このままで、いい……?」
「もちろん」
「お、おっぱいもないし、触っても楽しくない、ぞ……それでも、男のままでいいのか?」
 ネク君のこぼれそうな夜色の瞳は相変わらず不安で揺れていたけれど、先ほどとは少し違って微かに期待が滲んでいる。だから、それに応えるためにとっておきの笑顔で笑ってみせた。
「おっぱいがなくても、骨ばっかりで折れちゃいそうでも、男の子のネク君がいいよ」
「っ……」
「っていうかむしろ、男の子のネク君じゃないと嫌、かな?」
 固く強張ってしまったネク君の空気を少しでも和らげようとおどけた言い方をしてみせると、今にも感情が弾けてしまいそうだった彼は我慢できなかったかのように、僕の身体に腕を伸ばして、ぎゅう、と強く抱きついてくる。
「俺も、ちゃんと、俺のままを好きになってほし、い」
「うん、好きだよ?」
「たとえ、それが俺でも、ヨシュアを女の子に取られちゃうのは、嫌、だっ」
「うん」
 ぎゅうぎゅうと痛いほどにすがりついてくる薄い背中をぽんぽん、と撫でてあやしながら、子どものように駄々をこねるネク君の言葉に何度もうなずいた。
「よ、よしゅ……あ」
「ああ、ごめん。勃っちゃった」
 そうしてしばらく腕の中の子どもをあやしていたものの、ぴったりと身体を密着させて寄り添っていたネク君が急に居心地悪そうにもじもじと動き出したおかげで、自分の身体に起きた変化に気がつく。
「さっきは、いくら触っても全然反応しなかったのに……」
 戸惑う様子のネク君は全く何が起きたのかわからないという体だったけれど、僕からしてみたらそれはごく自然なことでしかない。
「だって、ネク君がそんなかっこで抱きついたりするから」
「ふ、え」
 今のネク君は捲れ上がった服の裾から胸まで見え隠れしているし、中途半端に脱げた下着が足首に引っかかっているだけで下腹部も太腿も丸出しという非常に扇情的な格好なのだ。
「好きな子にそんな風にされたら、僕だって男なんだから勃起くらいするでしょ」
 僕としては当たり前のことを告げたつもりだったのだけれど、当のネク君はそれを聞いて照れたように真っ赤になって目を逸らしてしまった。恥らう様子がかわいくて、ますます自分の欲望が猛るのを感じる。
「いい? しても」
「い、まさら……聞くな、ってば……」
「だって、ネク君の口から聞きたいんだもの」
 羞恥から逃げようとするネク君になおも食い下がると、彼はようやく諦めたかのようにおずおずと口を開いた。
「したい……よ……俺、も」
「そっか」
「……それだけ?」
「ふふ、ありがと。じゃあ、しよ?」
 くすくすと笑いを漏らす僕を睨んで不満そうなネク君の腰に腕を回して持ち上げると、勃起した先端を柔らかくひくつく彼の後孔に押し当てる。ふと見ると、何だかんだで彼の性器もぷるぷると震えながらはっきりと立ち上がっていた。
「なんだ、ネク君だって勃ってるじゃない」
「そ、そんな、の……っお、おまえが、あんな言い方する、からっ」
 語気を荒げて強がってはいるけれど、窄まりのフチへ強張った先端が擦れるたびにぴくん、ぴくん、と身体を跳ねさせて、必死に僕にしがみつく様は微笑ましいというほかない。
「そうなの? ネク君って……やっぱりかわいい」
 からかうような声音で言った言葉になおも反論しかけるネク君を無視して、そのままずぶりと彼の体内に屹立を押し込んだ。
「う、あっ……あぁあ……!」
「んっ……相変わらずせまい、ね」
「あ、はぁ……あふ、あく……うぅ……しゅ、あ、よしゅあっ」
 挿入してから、そういえば男の子に戻ってからは慣らしてないなということに気がついたのだけれど、そんなことをしなくてもネク君の身体はもう十分に蕩けてしまっていたようで、難なく僕の性器を咥え込んだ。細い腰を支える手でゆっくりと揺さぶると、僕の動きに合わせて彼も健気に腰を振ってくる。
「きもちいい?」
「きもちい、よしゅあ、きもちいぃよぉっ……すき、すきぃ、なの……!」
「そう……じゃあ僕もネク君も気持ちいいから、やっぱり今のままがちょうどいいんじゃない?」
 はふはふと唾液を漏らしながら呼吸を乱す彼の額にこつん、と自分のそれをぶつけると、ぽろぽろとこぼれる涙で彩られた青い瞳を覗き込んだ。
「ネク君は触っても楽しくないって気にしてたけどさ……僕もう何十回ってネク君のこと抱いてるのに、それこそ今更だよね?」
「ん、くぅ……ふぅ、あふ」
「それに、楽しくないなんてことないよ? ちっちゃいちくびも可愛いし」
 つつつ、とネク君の身体を撫で上げて辿りついた胸の尖りをきゅっとつまむと、体内を擦られる快感に集中していたせいか、予想外の刺激で細い身体が大げさに跳ねる。
「やあ、ぁ……! め、だめ、ぇ……いま、さわ、ちゃっぁ」
「いつも一生懸命おっきしてぷるぷるしてるここも可愛い」
「ひっ! らめ、やめぇっ……! だめ、だめなの、さわ、やぁ、あっぁっあっ」
 そのまま滑らせた手でとめどなく先走りを溢れさせる屹立を握ると、何度も何度も痙攣して止まらない身体がかわいそうなくらいだ。
「やだあぁ……! うく、ひぐぅ、よしゅ、の……ばかぁ……っいじ、いじわる、うぅ」
「馬鹿はひどいなぁ」
「あ、も……ほん、とに……さわ、なぃ、れ……ひっ、ひくぅ……れちゃ、でちゃあぁ……!」
 ぎゅうぎゅうと締め付ける粘膜の動きに目を細めながら、喉をびくつかせて泣きじゃくるネク君が愛しくて何度も屹立の割れ目に爪を立ててしつこく苛める。
 途中でネク君は我慢できずついに射精してしまったのだけれど、達している間も構わずに先端を弄り続けていると、彼のそこは壊れた蛇口のように精液の放出が止まらなくなってしまったようだった。
「うや、ぁ……なに、これぇ、とま、な……よしゅ、よしゅあぁ、おれ、おれぇ」
「ああ、ごめんね。ちょっと苛めすぎちゃったかな?」
「こわい、こわぁい……! よしゅあ、よしゅあぁ……」
「ほら、大丈夫だから。泣かないの」
「あく、うぅ……たすけて、よしゅあっ……こわいの、おれ、へんだよぉ……!」
 がくがくと震えの止まらない身体を宥めるようにあちこちを撫でてやりながら、恐怖からかちかちと奥歯を鳴らすくちびるに繰り返しキスを落とす。
 そうして騙し騙し快楽に導いてやりながら僕も何度か射精して、体内をソウルで満たした頃合にネク君の精巣はカラになったらしく、ようやく彼を恐怖に追い立てていた精液の放出と立て続けの絶頂は終わりを迎えた。


「僕、男の子のネク君が好きだけどさ」
 膝の上で僕の胸にくたりともたれていたネク君が顔を上げると、すっと伸びた睫毛と幼さの残る整った顔立ちが目に入る。以前ネク君にヨシュアはそこらの女の人よりキレイだ、なんてどんな殺し文句かと思うようなことを言われたけれど、ネク君だって成長途中のアンバランスさも相俟ってそこらの女の子には負けていないと思う。
「なんだよ」
「女の子の格好したネク君なら、案外見てみたいかな? って」
「なっ!」
 疲労でぐったりと僕に身を任せる彼を抱っこしながらふと考えたけれど、ネク君のおっぱいにはさほどそそられないものの、ネク君のミニスカートには大いに興味があった。
「ほら、僕って結構イメクラとか嫌いじゃないし?」
「知るかよそんなの! 初耳だ!」
「着てくれないの? セーラー服とか」
「誰が着るか!」
 予想はしていたものの、唾まで飛ばして躍起になって反論するネク君に、仕方なく今日のところは諦めることにする。きっと絶妙に似合ってなくて、かわいいと思うんだけどなあ。
 女の子の身体になるのはよくて、女の子の格好をするのはダメ、というのはネク君の琴線に触れるボーダーラインがよくわからないけれど。
「残念だねぇ」
「やらないからな……俺は絶対、やらないからな……!」
 まあそんなことを言っているけれど結局のところネク君は僕にとことん弱いので、切り口を変えて何度かお願いを繰り返していればきっと折れてくれるに違いない。などと悪いことを考えながら、今にもネコのように毛を逆立ててしまいそうな栗色の髪の毛を、よしよしと撫でつけた。



近いうちにセーラー服プレイが待ち受けているネクに幸あれ。 20100816

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