※性描写を含むような含まないようなですが、念のためご注意ください。 いつもどおりにヨシュアが部屋を訪れて、いつもどおりにヨシュアと話をして、いつもどおりになんとなくそういう雰囲気になって、ベッドに押し倒された。 けれど、俺のシャツのボタンを外して合わせを開いた途端、ぴたりとヨシュアが固まってしまったかのように動きを止めたのは、あまりいつもどおりとは言えない。 「あ」 「え、と……?」 けれどヨシュアの不可解な行動も、肌蹴た俺の胸を見たゆえの反応としては当然といえば当然かもしれない。自分でもすっかり忘れていたけれど、ちょうど胸の先っちょ、乳首を覆い隠すように二つの絆創膏が斜めにぺたりと貼られていたからだ。 お風呂に入るときに剥がそうと思っていたのだけれど、今日はその前にヨシュアが来てしまったから、そちらに気を取られてすっかり失念していた。 「ご、ごめん?」 何か見てはいけないものを見てしまったかのように戸惑った様子で、ヨシュアは慌てて俺のシャツの合わせを閉じる。そのままボタンを留めようか留めまいかと逡巡している様子は、なんだかすごくヨシュアらしくない、と感じてしまうほどに珍しい。 「う……あー」 俺自身何を言っていいやらわからずに、こんなときでもじっとこちらを見つめてくるスミレ色を直視することができず、うろうろと視線がさまよった。 「んん、と……理由とか、聞いてもいいかな?」 「あ、う」 「怪我した、とかじゃ……ないよね?」 あまりにもヨシュアらしくない的を外した質問にいつもならその場で笑ってしまっていただろうけど、気まずい空気に俺の口からは困ったようなため息が無意識に漏れただけだ。もちろん絆創膏の理由は怪我ではない。というか、こんなところ怪我する方が難しいんじゃないだろうか。 「ん、その……む、胸が、さ」 「うん」 「最近、なんていうか、擦れるっていうか、気になるっていうか、あの」 未だ戸惑った様子のヨシュアの顔が見られなくて、思わず段々と早口になってしまう。ヨシュアに見られるだなんてこと露程にも考えていなくて、どう説明したらいいのかなんてわからなかった。 「制服とか着ると、特に……だ、だから、怪我とかしたとき、むき出しだとすごい痛いし不安なんだけど」 「うん」 「絆創膏すると痛くなくなるし、すごい安心するだろ、あ、だから、えっと」 自分で貼ったり剥がしたりしていたときは全く気にしていなかったけれど、改めて自分の現状を思い返してみるとみるみるうちに顔が熱くなってきて、まさしく火が出そうなほどに恥ずかしい。むしろ思いついたときは手軽に済ませられてなかなか名案じゃなかろうかなどと思っていた自分を、今はものすごく殴ってやりたかった。 「ん……そ、っか」 俺自身もはや何を喋っているのかわからなかったけれど、ヨシュアもそれは同じだったようで、言葉を探しているかのように紡がれるその声も途切れ途切れだ。最終的にどちらからともなく見詰め合うしかなくて、傍から見たら大いに間抜けな光景だったに違いない。 「いつぐらい、から?」 「え、う……これ、貼り始めたのは、一週間前くらい……だけど」 「じゃあ、気になるなって、思ったのは?」 「そ、それは……結構、もう……ずっと前、から」 もはや俺の頭は欠片たりとも冷静に動いてくれなかったので、ヨシュアに問われるまま従順に答えを返すしかできなかった。最も重要で、けれど一番聞かれたくない質問はされませんようにとひたすらに祈る。 そんな祈りなど、聡いヨシュアの前では到底無駄なことだったのだけれど。 「……もしかしなくても、僕のせい……かな?」 ぽつりと呟かれた言葉に、それまで麻痺していた俺の羞恥心は一気に限界まで跳ね上がった。胸が擦れて気になるのがどうしてかなんて、そんなの言うまでもない。なのに困った様子で、何も知らないような顔をしているヨシュアにそれまで溜め込んでいたものが一気にあふれ出してしまう。 「よ、ヨシュアが、触るから、だろっ」 「って、わ……ね、ネク君」 「よしゅあが、いっぱい、触るから……!」 のしかかるように俺を押し倒しているヨシュアの顔が近くにあるのが耐えられなくて、闇雲に腕を振り上げて暴れた。けれど声だけは慌てた様子のヨシュアになんなく腕を掴まれ、押さえ込まれて、俺だけが冷静じゃないみたいに振舞われると泣きたくなる。 「っ、なにも、してないときでも、じんじんして、ずっと痺れてるみたいになって、気になるしっ」 「ああ、ほら、暴れないでってば」 「気にしないようにって、思っても、余計気になって、ど、どうしたらいいかなんて、わかんな……」 「ネク君」 喚いているうちにぐずぐずと涙声になってどんどん墓穴を掘ってしまう俺に、ヨシュアは聞き分けのない子どもにするように、ちゅ、と優しく口づけた。腹立たしいことに、俺の身体はヨシュアのたったそれだけの仕草でぴたりと抵抗をやめてしまう。 「う……く……」 「ごめんね? 僕のせいで」 「ふ、ぅあっ?」 申し訳なさそうに謝罪を口にしながら、ヨシュアはその指先をするりとシャツの隙間から滑り込ませると、あろうことか絆創膏に覆われたその場所をやんわりと撫でてきた。 「ぅ、や……さわる、なぁ……! なに、して……っ」 「痺れてるみたいで、気になって……それで?」 「はぁ、あふ……んく、んん……さわ、な、てばぁ……!」 「僕に触って欲しくて、我慢できなくなっちゃうんだ?」 困ったように笑うヨシュアは、なおも指先を遊ばせているのとは反対側へとくちびるを寄せて、絆創膏越しにかり、と歯を立てる。直接ではない微弱な刺激に、それでもびくんと肩が跳ねてしまって、もどかしいその感触にゆるゆると頭が揺れた。 「そ、なの……ちが、ぁ」 「ふーん? ホントに?」 「う、あ……っばか、ぁ……はがすなぁ……っ」 かりかりと胸の尖りを刺激する感触に気を取られている間に、気が付くとヨシュアの指先がそこを覆っていたはずの絆創膏を剥がし始めている。ぺり、と粘着部分が剥がれるぴりぴりとした痛みに思わずくちびるを噛む俺を見てヨシュアは笑ったようだけれど、小さく声を漏らしてしまったのは断じてその刺激に感じてしまったからではない。 はぁはぁと上がってしまう息を整えている隙にもう片方の絆創膏もあっさりと剥がされてしまって、むき出しになった乳首がぴんと立ち上がっているのが信じられなかった。 思わず女の子のように手のひらで胸を覆い隠そうとして、けれど咄嗟のそれもヨシュアの手に阻まれて叶わない。 「んん……や、ぁ……!」 「絆創膏もいいけどさ」 「やめ、ぇ……ふ、ぅ、あうぅ」 「舐めてみたら、もっと治りそうじゃない?」 言葉通りに差し出されたヨシュアの舌がぺろ、と赤くなった尖りを舐めて、濡れた感触に耐えるようにぶるぶると首を振る。けれど反対側の乳首も絶えずヨシュアの指先がこり、と撫でるものだから、敏感になった身体は俺の意思とは関係なくぴく、ぴく、と何度も痙攣した。 「そういえばネク君の胸、前よりも少しふっくらしてるような気がするね」 「ふ、ぁ……ぅ、うそだっ……」 「嘘ついてどうするのさ。触って大きくなるなんて、女の子みたいだねぇ」 治すと言いながらヨシュアは舐めるだけでなく、時折こりこりと尖った歯で噛み付いてきて、そんな風にされたら感じるなという方が無理だ。 気が付けば、いつのまにか熱くなって服の中で圧迫されている下肢を、腰を浮かせてもぞもぞとヨシュアの太腿に擦りつけていた。 「ん、く……よしゅ、もぉ、やだぁ……っ」 「うん?」 「そこ、ばっかり、ぃ……やら……!」 ぐしぐしと情けない声になってしまうのを自覚しながら、それでもなんとかヨシュアの瞳を睨んでうったえると、ようやく胸をくじっていた白い手が離れる。 「そう。じゃあここも?」 そのまま下肢へと滑ったゆびにベルトを緩められ前を解放されて、既に恥ずかしいくらいに俺の性器は勃起してしまっていたけれど、もどかしい刺激にさらされ続けてもう我慢なんてできない。 ヨシュアのゆびを絡められるだけでくちゅ、と恥ずかしい音がして、そのままいつものように弄られると簡単に上り詰めてしまう。 「ん、んん……! ふ、ぇ……や、も……でる、ぅ、でちゃぁ……!」 「ちょっと撫でてあげただけなのに。こんなにぴんぴんにしちゃうなんて、やっぱり好きなんだ」 片手でくちくちと屹立を撫でながらも、その間も離れずに赤くなってふくれた乳首を嬲っていたくちびるに、かぷ、と子どもが遊ぶように噛み付かれて、みっともなく引き攣れた喉から漏れる声は泣き声に近かった。 「う、くぅ……かむな、ばかぁっ……ふやぁぁっ」 そのままわけもわからずに達してしまって、びゅ、びゅ、とヨシュアの手のひらを汚す白濁を吐き出すのは、悔しいことにたまらなく恥ずかしくて、気持ちよかった。 いつもならそのまま最後まで行為に至ってしまうのだけれど、本格的にヨシュアが俺の脚からズボンを抜き取ろうとした辺りで色気のないことに、ぐう、と俺のお腹の音が鳴り響いてしまったせいで、「とりあえずご飯、食べようか」というヨシュアの言葉通りお預けになってしまった。 「また後で、ね」 俺としてもこのまま続けたいのはやまやまだったけれど、最中にまた腹が鳴ってしまったらと思うと、さっきのでさえ恥ずかしかったのに、きっともっとものすごく恥ずかしいことになるだろうと思うので、渋々ながら我慢する。 けれど一度は出したものの、やっぱり最後までしないと落ち着かなくて、なんとなく物足りなく思ってしまうのをヨシュアは知っているだろうか。 今はきちんとボタンの留められたシャツの下の胸には、ご丁寧にもヨシュアの手で直々に新しい絆創膏を貼られた。 「ヨシュアのせいだ」 「うん?」 「このまま絆創膏だけじゃ収まりつかなくなったりたら、ヨシュアのせいだからな」 俺だけが悔しい思いをしてばかりでは納得いかないと最後の抵抗のつもりだったのだけれど、やっぱり返すヨシュアは俺よりも一枚も二枚も上手だ。 「そしたら、また僕が擦って、舐めてあげるから」 「っ……」 ふんわりと微笑みながら言われたその言葉に、思わずどきりと胸を高鳴らせてしまう俺も大概なのだが。 「僕が来るまで我慢してね?」 ああもう、ほんとに、ほんとに。 バカヨシュア。 ヨシュアさんはおっぱい星人。 20091130 →もどる |