※性描写を含みます。ご注意ください。




 ヨシュアの腕に抱かれて寝室に移動すると、優しい動作でベッドの上に下ろされた。
 コツ、コツ、とヨシュアが靴を鳴らして移動する間も絶え間なく口づけを与えられていたから、荒くなった息と火照る身体はどうしても隠せない。
「う……ヨシュ、ア……はやくっ……」
 内側からじわじわと全身を苛む熱に、身体のどこもかしこもが言うことをきかなくなる。寝台の上に乗り上げてベッドヘッドへ凭れるように腰掛けるヨシュアに、圧し掛かるようにしがみつきながら服の裾を引っ張った。
「うん、ちゃんとあげるから」
 唾液でべたつくくちびるで尚も口づけをねだろうとすると、白い滑らかな指先で押し留められる。
「がんばって大きくしてね」
 耳元に寄せられるくちびるで囁かれた言葉の意味が分からずに、しばらく呆然とヨシュアの瞳を見つめてしまった。ちゅ、と音を立てて頬に落とされるキスで徐々にその言葉の意味を理解すると、思わずかぁっと顔が熱くなる。次いでヨシュアのものに奉仕する充足感を思うと、ドキドキと胸が高鳴った。
「んっ……う、うん」
 俺はヨシュアといると触られなくても勝手に身体が反応して、勃起してしまうのが常なのだけれど、ヨシュアは滅多なことでもない限り直接的な快感を得なければそういう風にはならない。だからよく手や口での愛撫を要求されるのだが、なんとなく手でするより口も使った方がヨシュアは嬉しそうだから自然とよく口での奉仕をするようになった。初めてそうしたときに衝動的に舐めたいな、と思ってしまって、それがずっと尾を引いて慣れてしまったのもあるかもしれない。
 どこもかしこも均整の取れたかたちをしているヨシュアはその性器もキレイだし、何よりそれでヨシュアが気持ちよくなってくれるのが嬉しいから、ヨシュアのものを舐めるのはとても好きだ。初めて見たときはその下生えが髪の毛の色と同じことに驚いたりもしたけれど(考えてみれば当たり前のことなのだが)、今は淡い色の豊かな感触すら愛しく感じる。
「ネク君」
 かちゃかちゃとベルトを外して、ずらした下着の中からヨシュアの性器を取り出すと、口に含む前に柔らかな声色に呼びとめられた。
「?」
「お尻、こっちに向けてみてくれる?」
 一瞬、何を言われたのか分からない。落とされた言葉の衝撃に、思わず顔を上げたままの格好で固まってしまう。
「え、は、う……えっ?」
「カラダ、辛いでしょ? 触ってあげるから」
 滅多にないヨシュアの申し出は嬉しいもので、それはそれは魅力的だったのだけれど。そうするということは、要するにスカートの中を全部ヨシュアに晒すことになるわけで、今の俺は女性ものの下着を身に着けていたりするわけだから、だから。
「う、あ……う、うぅ」
 けれど、優しく微笑まれた上に無垢なスミレ色の瞳にじっと見つめられてしまっては、俺に逆らう術などなかった。
 おずおずと身を起こすと、ヨシュアの胸をまたがるようにして体勢を変える。ヨシュアは少し上体を起こしてベッドの端に凭れているから、自然と膝を立てるかたちになった。どうしよう、ものすごく汚いとかではないと思うけれど、それでも綺麗ではない場所をヨシュアの顔に向けるなんて、そもそもヨシュアの上に乗っかるということすら俺にはとても恐ろしいことで、膝の上にはいつも乗せてもらっているけれどこれはそういう問題じゃないし、などとぐるぐる考えているうちに、頭の中がパンクしてしまいそうだ。
 それでもヨシュアが望んでくれたことに俺が応えないなんて、そんな選択肢はあるはずないのだけれど。
「よ……しゅあ、ごめ……なさ……」
「うん? どうして謝るの?」
 自分の恥部にヨシュアの視線が向けられているという羞恥と、自分がしていることへの罪悪感から勝手に謝罪の言葉が漏れてしまったのだけれど、ヨシュアにはその意味がわからなかったらしい。かといってとてもそれ以上の言葉を発することもできずに、ただ目の前のものに縋るようにヨシュアの性器に口づけた。
「ん……んぐ……」
 大きく口を開いてくたりと頭を垂れるものを咥えると、ヨシュアはさして気にした様子もなく、震える俺の太腿を掴んでするすると撫で上げる。
「下着、きつそうだね」
「ふ、はぅ……ん、んん……っ」
「脱がせて欲しい?」
 楽しそうに声を震わせながら、ヨシュアのゆびが下着の中の膨らみを布越しにつんつん、とつついた。べたつく下着の中で懲りもせずにまた立ち上がっている性器が、小さな布に押さえつけられているのが苦しくてたまらない。たったそれだけでびくついてしまう下肢を隠せずに、性器をゆっくりと舐め上げながら必死に言葉を紡いだ。
「ぬ、ぬがへ、て……ぬがへてっ」
「ふぅん。脱がせて?」
 意地の悪い声音でヨシュアが悪戯にゆびを遊ばせるたびに、ぴく、ぴく、と太腿が痙攣する。下着を脱がされるということは恥部を全て包み隠さずヨシュアの前に晒すということなのだけれど、もうそんな理性的なことを言っていられる状態ではなくなってしまっている。性器を咥えたままでは不明瞭に、少し間抜けに聞こえるだろう声を情けなく思いながらもなんとか続けた。
「く、くら……さい……!」
 涙声で懇願する俺をくすくすと笑いながら、ヨシュアの意地悪な手のひらが下着にかけられて、優しい仕草でするりと下ろされたのが分かる。
 つ、と太腿を精液の残滓が伝う感触にぎゅっと目を瞑ると、それを追いかけるようにヨシュアのゆびが敏感な皮膚を撫でた。
「ネク君の、もうこんなにぐちゃぐちゃなんだ」
「ん、んん」
「あーあ、下着もべしょべしょ。後で見せてあげるね」
 わざとらしい言葉で俺を嬲りながら、掬い取った精液を塗りこむようにぬるついた指先がくちゅくちゅと屹立を弄くる。俺が唾液を纏わせながらヨシュアのものをしゃぶる音と重なって、そのあまりの淫靡さに眩暈がした。
「んく、ぅ……はぁ、っはぅ……」
「気持ちいい? ああ、でも一回出したのに、ここはまだいっぱいなんだ」
「へ……ひ、ぁっ?」
 気まぐれなヨシュアの興味の方向は180度くるりと転換したらしく、先端を苛めていた指先が根元を滑って性器の袋部分を優しくつまんだ。重力に負けて垂れ下がっているそこを、くに、くに、と何度も揉みこむように撫でられると、えもいわれぬ快感が背筋を駆け抜ける。
「ぅ、あ……う、よ、ひゅあ……!」
「ほら、まだぱんぱん。毎日出してあげてるのにね」
「や、ら……そこ、やらぁ……っ」
 普段ヨシュアはあまり触れることのない部分に触られて、慣れない感触にびくびくと身体が跳ねた。精液を溜め込んでいるその場所を押されると、中のものが押し出されてしまいそうな神経質な快感がぴりぴりと尿道を走る。
「ふふ、ぷくーって膨らんでてかわいい。今の格好だと、ここもよく見えるよ?」
「や、いうな、ぁ……あぅ、やだ……やだぁ……!」
「やじゃないでしょ。これ、いつも空っぽにされるのが好きなんだもんね?」
 手のひらでころころと転がすようにやんわりと押しつぶされて、ひく、ひく、と腰がびくついた。
「ひ、ぅ……うぅ……や、ら……って、そこ、はぁ……はふ、ん、うく、ぅ……」
 まるで耐性のない種類の快楽に、大きく開いたまま閉じられない口からはだらだらと唾液が垂れて、ヨシュアの屹立を伝ってとろりと流れる。
「ほら、おクチがお留守になってるよ? ちゃんとやって」
「ん、ぐ、んん……! ぅ、ん……んぅ……」
 与えられる快楽に恍惚としていると、舌を動かすのを忘れて口を開けたままの俺へ不満を露にしたヨシュアの手にぐ、と強く頭を押さえつけられた。ずん、と喉の奥を突かれて、思わずえずいてしまいそうになるのを涙目になりながらもなんとか堪える。けれど、限界まで高ぶった身体はヨシュアの先端に喉を突かれる感触にも、徐々に大きく硬くなる屹立が舌や口内の粘膜を擦る感触にも快楽を感じ始めていて、気がつけばヨシュアの手が離れてもゆるゆると頭を動かしながら夢中でしゃぶっていた。
「そう、いい子だね。じゃあこっちも触ってあげる」
 満足そうな優しい声を漏らしながら、ヨシュアのゆびが後孔をそっと撫でる。
「ふ、ぁ……っ!」
「さっきから物足りなさそうにひくひくしてるんだもの。慣らさないと、ね?」
「うぁ、あぁ……!」
 疑問形で上げられる語尾と同時に、つぷ、と指先を押しこまれた。無遠慮にどんどんと中に押し入られて、内部を探られて、そのたびにびくつく腰を堪える術なんてない。
 ぐちゅ、と内部を押し広げられながら身構える暇もなくゆびを増やされると、粘膜の広がる感覚に思わず強くヨシュアの指を締め付けてしまう。そのまま、粘膜の敏感な箇所を容赦なくぐっと押された。
「ん、んー……ふ、ぷはっ……! はぁ、はぁ……」
 お腹の壁をぐいぐいと押しつぶされる感触はあまりにも快感が強くて、我慢できずに咥え込んでいたものから口を離す。そうすると、はぁ、と呆れたようなため息がヨシュアの口から漏れたのが聞こえて、次いでそんな俺を咎めるようにぐじゅ、とゆびを強く動かされた。
「ぃあ、あぁ……!」
「ああほら、またそういうことする。離したらダメでしょ?」
 ヨシュアのゆびに責め立てられる度に頭が揺れて、ぴた、ぴた、と屹立が頬を叩く。
 立てた膝はヨシュアに太腿を掴まれたままがくがくと震え、既に限界をうったえているけれど、少しでも腰を落とすとぴんぴんに立ち上がってしまっている敏感な性器がヨシュアの胸に擦れてしまうから、何度も崩れそうになりながら必死で堪えた。
「ん、ぅ……だ、って……」
「いい子にできないなら、ご褒美あげられないよ」
「ふ……ごめ、なさ……」
 不機嫌なヨシュアの声に泣きそうになりながら、なんとかもう一度口を開く。けれど、もう勃起して大きくなったヨシュアのものを全部咥えるのは無理で、先端から入るだけをくちびるで咥えると、足りない部分は手を添えて必死にしごいた。
「んく、んくぅ……んん、んむっ……」
「そう……ちゃんと教えてあげたんだから、上手にできないとね。ほら、抜けちゃう抜けちゃう」
「んん、ん、んー……っや、ら……ひゃら、ぁ……!」
 俺が口を休めようとすると、ヨシュアはわざとらしく抜けそうなところまでゆびを引いて、その都度物足りなさで内部の粘膜が強く収縮する。かと思えば、ヨシュアのゆびを取り込もうと物欲しげにひくつく内部を気まぐれに容赦なく強く擦られて、ひっきりなしに身体が跳ねた。
「ふぅ……んぐ、んく、ぅ……っ」
 身体を跳ねさせる度に深く咥えこんだ屹立が喉の奥を突いて、身体中をヨシュアに犯されているような錯覚に陥ってしまいそうになる。
「ん……一回、出すよ?」
 びく、びく、と口内で脈動して間近に射精をうったえている屹立とヨシュアの声に身構えると、ぐりゅ、と内部を探るゆびに前立腺を押しつぶされた。予想外の衝撃に、思わず深く咥え込んだヨシュアの性器で強く喉を突いてしまう。
 そのまま吐き出されたヨシュアの精液が喉の奥に叩きつけられて、あまりのことにわけのわからないまま一緒に射精してしまった。
「ん、んっ……」
 ぱたぱた、と垂れる自身の精液はヨシュアがちゃんと手のひらで受け止めてくれたのを感じたけれど、そこまで気を回している余裕は俺にはなかった。ひく、と射精に身体を震わせながら、口内に溢れる精液をこぼさないように反射的に飲み込む。こく、こく、と喉を鳴らしていると、体内のゆびはずるりと抜けて行って、汚れないようにその手の甲で頭を撫でてくれる感触が優しかった。
「こぼさなかった? いい子だね」
「んく……ふ、ぅ……」
 びゅく、と少し遅れて吐き出された精液も、幹部を伝って零れ落ちてしまわないうちに性器を掃除するつもりで綺麗に舐め取る。そのうちに一度は萎えた屹立もすぐに勃起して、大きくなった。全部を飲み下してしまうと、もう膝を立てていることができなくて、かくりと崩れ落ちてしまうのをヨシュアの手が支えてくれる。
「よくできました」
「う……よしゅ、あ……」
 ずりずりとなんとかヨシュアの上から身体をどけると、ふふ、と上機嫌に笑いながら俺の肩を掴んだ手に優しく押し倒された。背中に感じるシーツの感触が、さらさらと気持ちよくて、柔らかい。
「ちゃんと上手にできたから、ご褒美あげないとね」
「ん、っ……」
「ネク君いい子だったし、気分がいいから今日はこの格好でしよっか」
 ちゅ、と額にキスを落として俺の脚を大きく広げるように抱え上げると、ヨシュアの屹立がそっと後ろに押し当てられた。その端正な顔がちゃんと見えて、俺の一番好きな体勢でしてくれるというヨシュアに、ドキドキと胸を高鳴らせずにいられない。震える腕でなんとか首にしがみつきながら、ひくん、と思わず入り口をぱくつかせると、そのふちをヨシュアのゆびがゆっくり撫でた。
「ああ、ずっと欲しかったんだね」
 先ほど受け止めた俺の精液でぬるつくヨシュアのゆびの感触に、何度も粘膜が収縮する。
「ん、んっ、ぅ」
「ほら、ぱくぱくおねだりしてる。かわいい」
「ん……よしゅ、あ……よしゅあっ」
「うん」
「ほし、ほしい……よぅ……!」
 指先でふちを撫でられて、もぐりこんだ屹立の先端でくちゅくちゅと入り口付近の粘膜をくすぐられると、はしたなく腰が動いてしまうのをもう我慢なんてできなかった。
「あ、はぅ……んん、は、はやく、ぅ」
「やらしい顔して。腰、揺れてるよ?」
「ふぅ、う……だ、って……お、ねがぃ……っも、ヘン、になっちゃ」
 もどかしさに何度もわけの分からない波が背筋を駆け抜けて、焦れて疼く身体を助けて欲しくて、ぼろぼろと情けなく涙が目尻からこぼれる。
「んー」
「ぅ、っ……?」
 わざとらしく思案顔のヨシュアは、きっとまた何か悪いことを考えているのだろう、というのは熱に浮かされた俺の頭でもわかった。
「せっかくメイドさんなんだから、メイドさんらしくおねだりしてほしいな」
 そうして口にされた言葉の意味に気づいて、未だに与えられないものに涙が止まらず、途方にくれる。
「ゃ、あ……ごほーび、くれるって、いった……っ」
「うん、あげるよ? でもその前におねだりしてほしいな」
「ぅ……く……うそ、つき……! いじわる、うぅ……!」
「ふふ……でも好きでしょ?」
 くち、と音がするようわざとらしく腰を動かされて、まさしくその通りの言葉に反論なんてできないのが悔しい。
「ふ、ぅ……お、っきくて、かたぃ、の……」
「うん」
「おれの、なかに、くださいっ……」
「誰の?」
 ふんわりと微笑むスミレ色に、消え入りそうな声で呟いた。
「……ご、しゅじん……さま、ぁ……」
 耳元に寄せたくちびるでなんとか紡いだ言葉に、ヨシュアは満足そうに笑いを漏らすと、押し当てた屹立を容赦なく奥まで一息に押し込んだ。
「うあ、あぁ……!」
 散々焦らされた内部がようやく満たされる感触に、押し込まれたヨシュアのものをぎゅう、と思い切り締め付けてしまう。あまりにも強すぎる快感に、頭の中が一瞬真っ白になった。
「ネク君は、おねだりも上手だね……?」
「あぁ、ぅ……はぁ……はうぅ……」
「これが、欲しかったん、でしょ?」
 さすがに締め付けがきついのか、ヨシュアが珍しく余裕なさそうに眉を寄せている。けれど、痛みではなく快楽で熱っぽく蕩けるスミレ色に、それだけで俺は嬉しくなってしまう。
「はぁ、あう……お、おく……あた、って、うぅ」
「うん、気持ちいい?」
「ん、うん……うんっ……ごりごり、って……するの、すき……!」
 ヨシュアの勃起した性器は俺の身体には少し大きくて、刀身の太さにみちみちと限界まで広げられる内部と、先端が奥まで届く感触がたまらない。
「ふふ、こう?」
 こくこくと頷く俺の脚をぐ、と持ち上げて、深く腰を押し付けたまま強く揺さぶられた。
「やあぁぁ……! こ……っこわれ、ちゃ……そ、な、したら……おく、やぶけちゃぅ……!」
 硬い感触にぐりぐりと最奥まで犯されて、わけのわからない快感に恐怖すら感じる。けれど、宥めるように柔らかく額や頬に落とされるキスは温かかくて、とても優しかった。
「怖い? なら止める?」
「あ、やだ……いやぁ……やめ、やめないでっ」
 俺の言葉で胸と胸をくっつけるように身を屈めていたヨシュアが上体を起こそうとするのが嫌で、どうにかそれを阻止しようとしがみついた腕にぎゅっと力を込める。
「ほら、じゃあどうしたらいいの」
 ふふ、と笑う声はどこか困ったような色を滲ませて、その表情は子どものわがままに手を焼く大人そのものだ。
「ふ、ぁう……も、っと……もっと、ついて、ぇ……!」
「やぶけちゃってもいいんだ?」
「はふ……ぅ、いい……い、からぁ……」
 もはや身体も、頭の中も、ぐずぐずになって蕩けてしまって、みっともなくヨシュアを貪る自分を隠すことなんてできなかった。なりふり構わず腰を揺らすと、ヨシュアはあやすように優しく俺の背中を撫でながら、望みどおりに大きく動いて内部を掻き回してくれた。
「よしゅあ、よしゅあぁ……」
 突き上げては引いて、また突き上げて、の律動を繰り返されるうちに、もはやヨシュアの名前を呼ぶ以外に俺にできることなんてなくて、べそべそと情けなく涙声になるのが分かっていても口を閉じることができない。
「ご主人さま、でしょ?」
 だから、そんな風に囁かれても、もうヨシュアの言葉の意味すらわからなかった。
「ふ、ぇ……く、やぁ……よしゅ、ヨシュアが、いい……!」
「言うこと聞けないの?」
 わけもわからずに首を振ると、ヨシュアはそれが不満だったように内部を満たす屹立をずるりと抜こうとする。全部が抜けてしまう前に、必死でヨシュアの腰に脚を絡めて引き止めた。
「やぁ、やだぁぁ……よしゅあっ……やらぁ……」
 だって、今この場でヨシュアの名前以外に必要なものなんて何もないと思うのに。きっとヨシュアだって、他の言葉なんてどうでもよくて、ただそうやって俺を嬲って遊んでいるだけなのだ。
「やれやれ……ふふ、仕方ない子」
 そう言ってわざとらしくため息を漏らしながら笑う意地悪なヨシュアが、俺はたまらなく大好きなのだけれど。
 再び内部に戻ってきてくれたヨシュアに粘膜を暴かれる感触で、そのまま意識が飛んでしまってもすぐにヨシュアの手で引き戻されてしまって、揺さぶられて、ひたすらに泣き声を上げ続けるしか術がなかった。


「ネク君の身体甘くて、お菓子みたい」
 ぺろぺろとよく慣れた犬のように俺の肩口に顔を埋めて首筋を舐めるヨシュアの言葉に、どう反応していいのかわからない。
「そ、そりゃ……チョコ、だから」
 まだ少しこぼれたチョコレートでべたつく首筋の残滓を、ヨシュアの舌がまたぺろりと舐める。行為が終わってからも内部に埋めたものを抜かずに、飽きもせずに俺の身体のあちこちを触っているヨシュアの様子を見ていると、おフロに入れてもらえるのはもう少し後になりそうだ。
「服はクリーニングに出せばいいけど、これはもうダメかな」
 淡々とそんなことをこぼすヨシュアの手の中で、ちゃり、と俺の首から外された首輪が控えめに存在を主張するように小さく鳴る。せっかくヨシュアがくれたものなのに、と思うと残念でならなくて、心が沈んだ。
「うー……ごめ、ん……」
 自分の粗相でそうなってしまったのが申し訳なくて、詫びるようにヨシュアの頬にくちびるを寄せると、優しい指先に頭を撫でられた。
「ああ、そんな顔しないで。また新しいの、付けてあげるから」
 新しいの、という言葉に思わずぴく、と頭が揺れる。
「本当か?」
「うん、ほんと。いらない?」
「い、いるっ、欲しい」
 思わず大きな声を出してしまった俺にくすくすと笑いを漏らしながら、ヨシュアは優しく触れるだけの口づけをくれた。
「ふふ、じゃあ明日買ってくるから。少し寂しいかもしれないけど我慢してね」
「う、うんっ」
「ちょっと早いけど、今日のお返しになるかな」
 今まで女の人からチョコレートを貰っても、ヨシュアがお返しをしているところは見たことがない。そんなヨシュアが俺のために用意してくれるというそのことだけでも嬉しくて、たおやかな手つきで首輪を巻いてくれるいつものヨシュアのゆびの感触を思うとどうしたって胸が高鳴る。
 再び首筋に触れるくちびるの、柔らかくて、少しだけくすぐったい感触に、湧き上がる衝動のままぎゅっとヨシュアの身体に抱きついた。



ヨシュアさんが行くのはもちろんペットショップです。
店員さんとは既にとっても仲良し(主に飼い犬の話題で) 20090624


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